「シンガポールはつまらない」自虐動画の全貌 短期間の滞在では決して見えない本当の味

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(左)マリーナベイ・サンズをバックに悠々とくつろぐ野生のカワウソ /(右)延々と続く海岸沿いにはヤシの木が風にそよぐ。はるか遠くに望むタンカービューも一興だ(ともに筆者撮影)

さらに、人工的に作られた砂浜に興味はないと、当初は見向きもしなかった海岸沿いも実際に早朝ジョギングなどをしてみると、ヤシの木が延々と続く風景は思いのほか美しく、時折姿を見せる野生のミズオオトカゲやカワウソの群れには思わず感動する。はるか遠方の海上に大きな貨物を乗せたタンカーが見えるのも、東南アジアのハブとしてのシンガポールの活況を垣間見るようでなんとも面白い。

建国以前から培われてきた多様な民族模様

穏やかな海岸沿いに広がる緑豊かな公園をそぞろ歩けば、多様な民族模様が見えてくる。朝6時から悠々と太極拳にいそしむのは、高齢の中華系の人たち。おそろいの赤いTシャツなどを着て、毎朝独特の音楽と共にゆっくりとポーズを取る。週末ともなると、出稼ぎに来たフィリピン人ハウスキーパーがどこからともなく大勢集い、陽気な音楽をかけBBQをしながら腰を揺らしてダンスを楽しむ。

週末は出稼ぎのフィリピン人家政婦たちが集い思い思いにBBQや踊りを楽しむ(筆者撮影)

インドから出稼ぎに来た建設労働者たちは、平日の作業着を脱ぎ捨て、カジュアルなTシャツ姿でビーチバレーやクリケットに歓声をあげる。さまざまな民族が思い思いに楽しむその光景は、多様な人種や宗教を受け入れて成り立ってきたシンガポールの素の表情を映し出し、奥深さを醸し出している。観光客が集う中心部に、教会やモスク、ヒンズー教の寺院がほぼ隣り合わせに共存しているのも、この国ならではだろう。

また、シンガポールは東京よりも物価が高い、とよく言われるが、それは現地で日本食や観光客向けのレストランに入った場合だろう。

ローカルの人々の胃袋を満たすのは、公団住宅(HDB)に併設された、ホーカーと呼ばれる屋台群。その数およそ6000軒にも及ぶと言われており、多民族を抱えるシンガポールらしく、中華系、マレー系、インド系、アラブ系などそのラインナップは多様だ。

公団住宅の下にあるホーカー。無数の屋台が地元民の胃袋を満たす(筆者撮影)
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