漫画「君たちはどう生きるか」に感嘆するワケ

80年前の名作を読んだ感想が成長の証だ

読む場面が違うことで自分の成長を実感できる名作だ(東洋経済オンライン編集部撮影)

「成長した」と人は簡単に言うけれど、具体的に何が自分を成長させたのか、本当のところはたぶん、わからない。

ある投資家は、起業家にとって一番大切な能力は、あたかも最初から成功することがわかっていたかのようにストーリーを語る力だと言っていた。計算通りだと信じさせられれば、再現性があると思われ、おカネが集まるからだ。結果の理由はいつだって、もっともらしい後付けだ。

受け取り方が変わったのは、自分が変わったから

だけど、自分が成長したかどうかはちゃんと知ることができる。方法はいくつかあるが、そのひとつが、良質な物語――読み継がれる名作との出会いだ。

当記事は、マンガ新聞から転載です

自分の場合、それを教えてくれたのは夏目漱石の『こころ』だった。

この作品との初めての出会いは、中学1年生の時だった。小学校のころの何倍も大きくなった図書館で見つけた、どこかでタイトルを見かけたことのある本だった。だが、借りて何ページか読んで放り出した。何が面白いのか分からなかった。

二度目に触れたのは、高校生2年生の国語の授業だった。「ああ、あのときのつまらなかった話ね」という心持で対峙した『こころ』は、しかし、面白かった。数年前にワケがわからなかったはずの本のページをめくる手が止まらないという衝撃的な体験を、今でも鮮やかに覚えている。

そのとき自分は、自身の変化を『こころ』を通じて知ったのだった。

いうまでもなく『こころ』の内容は100年以上前から変わらない。その受け取り方が変わったのであれば、それは自分が変わったということだ。読んだ感想は「つまらない」から「面白い」へ。世の中の見方がポジティブになり、楽しみ方を知る。それはつまり成長だと思う。当時、こんな素晴らしいことを教えてくれるからこそ『こころ』は名作なのだ、と理解した覚えがある。 『こころ』は今も折に触れて読み直すが、そのたびに新たな発見がある。

今日、紹介する『漫画 君たちはどう生きるか』もそんな作品だ。原作は1937年刊行、80年以上も読み継がれる歴史的名著。『ケシゴムライフ』『昼間のパパは光ってる』の羽賀翔一さん(@hagashoichi)によって、初めて漫画化された。

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