手ぶらで入廷?オッサン弁護士の堕落 埋められないベテランと若手の溝(上)

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1日の業務停止でも大きな痛手に

「2年以内の業務停止」も現実にはかなり重い。1日でも業務停止になると、顧問先をいったんすべて解約しなければならない。いったん解約したクライアントが、業務停止処分明けにあらためて顧問契約をしてくれる確率は極めて低い。

ごく一部に、弁護士会内の政治的な力学が働いて業務停止を食らう弁護士がおり、クライアントからの信頼は厚いため、業務停止期間が明けると再契約をしてもらえるという例はあることはあるが、それはあくまで例外的なケースだ。

調査、審査は裁判同様証拠主義。したがって証拠がなければそもそもダメだし、結果への影響が大きいため、日弁連もよほどのことがないと業務停止処分は出さない。業務停止を食らうのは、預かり金を横領して返金しないなどというケースに限られ、返金して和解すると「戒告」になったり、事件を放置したくらいではなかなか業務停止にはならない。

「戒告」は言葉足らずな弁護士の説明不足程度のレベルのものから、委任状を偽造して勝手に裁判を続けるなどというレベルのものまで、幅が広い。

また、自分のスキルが上がりそうな事件や、中身が面白い事件は関心を持って一生懸命やるのに、興味を失ったとたん、手抜きをする弁護士は意外と多い。このため、敏腕で知られる著名弁護士が実は事件放置で戒告処分を受けていたりすることもある。したがって、弁護士同士でも「戒告」に対する見方は甘くなりがちになる。

次回もロートル弁護士の不良化についてつづる。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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