手ぶらで入廷?オッサン弁護士の堕落 埋められないベテランと若手の溝(上)

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まだ官報掲載はされていないようだが、A弁護士は今年にも、新たに1カ月の業務停止処分を受けており、依頼者から借金をしたり、依頼者の連帯保証人になったりしたことが、弁護士法56条違反、つまり弁護士としての品位を失うべき非行に該当する、とされたということが、『自由と正義』に掲載されている。

一方、D弁護士のほうは懲戒歴は1度だけ。業務停止10カ月の処分を受けており、処分理由は「多重債務処理で斡旋屋から紹介を受け事務員に処理させた」。それ以降懲戒歴はない。

もうひとり、筆者が定期的に懲戒歴をチェックしているのがG弁護士。インチキ投資コンサルタントの代理人として、被害者が起こした裁判の場に出てきていた弁護士である。法廷を無断でサボることもしばしばで、後から裁判所の書記官が電話を入れると、「急にお腹が痛くなった」などと言い訳するような人物である。

こちらは懲戒歴はすでに4回。「預託金返還訴訟で敗訴、依頼人から上告しない連絡があったが上告委任状を偽造し勝手に上告」で戒告、その後も「離婚事件で紹介者(信用調査会社)に弁護士紹介料を着手金に含めて依頼者に払わせた」として戒告、さらに「事件放置」で3カ月の業務停止、最近では「紹介者からの事件依頼で紹介者に和解金が行かず4回目の処分」による業務停止である。

つまり、やらかしたことの中身は「戒告」レベルだが、4回目だから「業務停止」にした、ということなのである。それでもこれだけの実績をもってしても、G弁護士のバッチはいまだに飛んでいない。

落差が大きい「戒告」と「業務停止」

公認会計士や税理士には自治権がないので、懲戒権は監督官庁が握っているが、弁護士には自治が認められているので、弁護士の懲戒は基本的に日弁連が決定する。

ただ、懲戒の種類は「戒告」「2年以内の業務停止」「退会命令」「除名処分」の4種類しかない。いちばん軽い「戒告」は口頭注意、いちばん重い「除名処分」は弁護士としての身分の剥奪を意味する。「退会命令」は、所属弁護士会からの退会命令で、ほかの弁護士会で登録申請をして受け入れられれば弁護士を続けられるが、どこかの弁護士会で退会命令を受けた弁護士がほかの弁護士会で登録を受け入れられることはまずないので、除名と効果はほぼ一緒だ。

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