輸出主導型ではなくなった日本経済 リーマンショックから5年、世界はどう変わったか

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縮小

大きな変化があったのは、住宅投資だ。対GDP比は、06年には6.0%であったが、12年には2.7%にまで低下した。この変化がほぼ純輸出の変化と対応している。

なお、中国のGDP統計では需要面が公表されていないので、以上のような分析ができない。

世界の総需要の変化で日本経済は縮小した

ところで、以上のデータを見るだけでは「さまざまな変化のどれが原因でどれが結果なのか」、つまり、「どれが主体的に動いた項目で、どれがそれへの受動的な対応や自動的な調整で結果的に変化した項目か」は分からない。統計データから分かるのは、事後的な相関関係だけであって、因果関係ではない。因果関係は、ストーリーを組み立てることでしか分からない。それは、およそ次のようなものだったと考えられる。

まず、米国において、金融緩和とサブプライムローン証券化商品によって住宅投資が促進され、住宅価格バブルが生じた。証券化商品への投資は、海外からも行われた。日本からは、円キャリー取引を通じる資金の流入があった。こうして財の面では国内需要が拡大して経常収支赤字が拡大した。資本収支の面では、資金流入で黒字が拡大した。

バブルが崩壊して住宅投資は減少し、動きが逆転した。すなわち、純輸出の赤字が縮小したのだ。すでに見たように、06年と12年を比較すると、住宅投資の減少は対GDP比約3.3%で、これが純輸出の対GDP比の減2.1%にほぼ対応している。

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