輸出主導型ではなくなった日本経済 リーマンショックから5年、世界はどう変わったか

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中国の経常黒字の対GDP比は、01年には1.3%だった。その後、継続的に上昇し、07年に10.1%というピークに達した。額では3532億ドルだ(額の最高値は、08年の4206億ドル)。ところがリーマンショック後は継続的に減少し、12年には対GDP比が2.6%、額では2017億ドルになった。

図に示すように、日中の経常黒字の合計は、05年頃までは、米国経常収支赤字の4割程度であった。06年には約半分になり、07、08年には約8割になった。

ただし、このことは、米国の経常赤字の大部分を日中両国だけで賄ったことを意味するものではない。米国は日中以外の国との関係もあるし、日中から見ても米国以外の国との関係があるからだ。以上で述べたことは、単に数字が対応しているというだけのことだ。もっとも、日米中は経済規模が大きいので、この3国だけを取り出しても、全体の傾向をおおまかには見たことになる。

GDP需要構成比が変化した

以上で見た対外経済バランスの変化は、GDPの国内需要項目の変化と対応している。

日本の名目GDPの各項目構成比を06年度と12年度で比べると、純輸出が3.6%減少した一方で、民間最終消費支出は3.5%増加した。

他の項目も変化している。すなわち、民間住宅と民間企業設備の構成比の和が2.17%減少したのに対して、政府最終消費支出が2.4%増加して補っている(なお、公的資本形成が0.6%増)。つまり、輸出と投資に主導される経済から、消費に主導される経済へと、需要構造が大きく変わったのである。

米国のGDP構成比も変化した。純輸出の対GDP比は、06年のマイナス5.5%が、12年にはマイナス3.4%に縮小した。

ところが、日本の場合とは違って、個人消費支出は目立った変化を示していない。対GDP比は、06年に67.1%だったものが12年には68.6%と、むしろわずかではあるが、増加している。

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