「起業家という名の無職」になりがちな人々 実務での実績がなければ誰も寄ってこない

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そして、そういった独自のやり方で自己実現を図っていけば、自分自身が新しいものを創りあげた実績になりますから、自ずとSさんのいう新しい何かを作り出す仕事にも従事できるはずです。

資格だらけの「起業家という名の無職」

つまり、他人に対してキャリア上のアドバイスなど何かを与えたいと考えるのであれば、考えるべきは1つです。「自分が相談者ならば、今の自分に相談をしたいのか?」と。

自分が自分に自信があり、相談をしたいくらいにならないと赤の他人はSさんに相談をしたいなどと思いません。

状況は異なりますが、その昔、非常に沢山の資格を持っている方にお会いしたことがあります。中小企業診断士や簿記に始まり、FPや英語などなど。しかし彼は独立した起業家という名の無職でした。なぜか? 彼にあるのは勉強した実績としての資格だけであり、実務における実績が何もなかったので、他人が相談をしたいと思わなかったからです。

反対に資格や学歴はなくとも、実績があるので人材分野の会社を興し、成功している知人がいます。

やはり何事も実績がものを言うのです。相談したい理由を相手に与える。おカネを払う理由を相手に与える。そのための実績です。

まずはSさんが目指す分野においてそういった、他人はおろかSさんご自身が魅力的と思える人物になってみてください。そうすることで自ずと道は開けてくるはずです。まずはご自身で自己実現を図り、良い相談者となり、1人でも多くの方の悩みの解決に寄与される方になることを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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