女性に花を贈る?バレンタイン新風習の実態 低迷する花屋業界が打ち出した「新機軸」とは

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売上高が増えても客単価が下がれば利益寄与が小さくなりがちだが、パーク・コーポレーションは原価率や人件費比率を日報ベースで細かく管理。未公表ながら、営業利益ベースでも増益基調を維持していると見られる。

1898年創業の老舗チェーン、第一園芸も消費拡大策を打ち出す。同社は百貨店に入居している店舗が多いこともあり、フラワーバレンタインの期間は日本橋三越本店や銀座三越などの紳士服売り場で、ファッションディレクターとして活躍する干場義雅氏のトークショーを開催する。日本橋三越本店の入り口にあるライオン像に花をあしらった帽子を装飾するなど、期間中は百貨店側と連携し、イベントの認知向上に力を注ぐ。

SNS普及も追い風に

第一園芸は今年3月に、新業態の「ビアンカ バーネット」を首都圏に3店舗オープンする。ブーケやアレンジメントなど顧客が手に取りやすいセット商品を充実するほか、家具や雑貨、書籍など花に関連するアイテムもそろえることで、幅広い層の自宅用需要を喚起する。

パーク・コーポレーション代表取締役の井上英明氏は、コミュニケーションの一環として花を贈ることを習慣化することが大事と主張する(撮影:尾形文繁)

市場が右肩下がりの苦しい状況は続いているが、業界関係者はイベントの効果で男性需要や自宅需要が増えていることに手応えを感じているようだ。

インスタグラムなどSNSの普及も追い風になる、と関係者は期待を寄せる。料理の画像をアップする際には、傍に花を添えていると見栄えが違ってくる。自宅で花を飾る人が増えるきっかけになる可能性はあるだろう。

「都市化が進むほど、身近に花や緑が必要になる」と、パーク・コーポレーションの井上氏。花屋業界の消費拡大策はひいては、慌ただしい日々の生活の中に潤いをもたらす消費者一人ひとりにとっての一助になるのかもしれない。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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