女性に花を贈る?バレンタイン新風習の実態

低迷する花屋業界が打ち出した「新機軸」とは

特別なイベントの際は男性スタッフだけで対応する南青山店(青山フラワーマーケット提供)

珍しい試みもある。青山フラワーマーケットの南青山本店では、2月14日のバレンタインデーの日は各店から集まった7~8名の男性スタッフだけで接客対応する。「女性スタッフだけの花屋に入っていくのは、男性客にとっては勇気がいること。男性スタッフがいれば安心して入店できる」と、井上社長は説く。

待ちの姿勢だった花屋業界

なぜ、花屋業界がこうした取り組みに力を入れるのか。背景にあるのは先行きに対する強烈な危機感だ。

「思考が止まっている業界」――。花屋業界は長年、このように揶揄されてきた。冠婚葬祭を中心に底堅い装飾需要があったため、特別な仕掛けをしなくても儲かっていた時代もあったが、近年は個人消費の伸び悩みや冠婚葬祭の簡素化を背景に、菊やカーネーションといった花の需要が年々減少傾向にある。農林水産省の統計によると、切り花類の直近の出荷量はピークである2000年前後に比べ、4割近くも減っている。

2000年以降、市場が下降線を辿っていたことを業界関係者は認識していたにもかかわらず、「ずっと“待ち”の姿勢で営業していたので、いざ対策を打つとなっても、何もできずに手をこまぬいていた」(業界団体「花の国日本協議会」の小川典子プロモーション推進室長)という。

青山フラワーマーケットの年間客数は400万人を超える(撮影:尾形文繁)

「このままでは生き残れない」と一念発起した花屋業界は、いまから約8年前に業界をあげて消費拡大策を練り始めた。男性が花を買うきっかけづくりとして打ち出したフラワーバレンタインもその1つだ。他にも「愛妻の日」(1月31日)や「ホワイトデー」(3月14日)でも、イベントを積極的に仕掛ける。

前出の青山フラワーマーケットは低価格のセット商品を武器に集客を図ってきたことが奏功し、年間客数は400万人を突破。運営会社のパーク・コーポレーションの2017年度売上高は前期比7%増の80億円超で着地した。ここ5年で20%以上も伸びている。

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