米国で浮上した「北朝鮮攻撃シナリオ」の中身 朝鮮半島の緊張は収まっていない
ニューヨーク・タイムズ紙は今週初め、統合参謀本部の上級軍事指導部と、ジェームス・マティス米国防長官は、ホワイトハウスから軍事行動という選択肢を問われ、軍事行動が実際に実行可能であるという確信を与える恐れがあるとして、故意に抵抗したと伝えている。
軍事行動を行うべきか否かに関する議論がワシントンでは大きな熱を帯びている。トランプ政権が駐韓アメリカ大使候補に指名していたビクター・チャが、任命に向けて何カ月も準備を進めていた中、突如として内定が取り消されたとの報道があったからだ。チャは著名な学者であり、ブッシュ政権時には国家安全保障局の高官を務めた人物だ。
ホワイトハウスの主張によると、内定が取り消されたのはあくまで個人的事情で、夫人の親戚が朝鮮半島にいるため利害の衝突が生じることとの絡みだという。
チャの「暴露」と内定取り消し
一方、チャはワシントン・ポスト紙に寄稿して意見を述べ、ホワイトハウスの主張よりはるかに印象的な説明をにじませていた。寄稿記事では限定的かつ予防的な軍事行動を行うという考え方に対し、慎重な言い回しながらも強く異を唱えていた。軍事行動については北朝鮮の「面子をつぶす」ためだという者もいる。
チャは、軍事攻撃が衝撃を与える効果を持ち、段階的にエスカレートしている米朝の応酬を引き起こすことはないという考えに注目。これに伴うリスクについてこう書いている。
「そのような攻撃をせずに金正恩を阻止することはできないと考えるのであれば、攻撃によって金正恩が同じようなことをする可能性がある、とも考えられないか。金正恩が予測不可能で、衝動的で、まるで理性のない人物であるならば、敵対者(金正恩)が(米国による)警告や抑止力について合理的に理解することを前提としているエスカレーションラダー(戦争規模拡大梯子)をどうやってコントロールするのだろうか」
この記事が、チャが内定を取り消された理由かどうかは明らかにはなっていない。しかし、チャの「暴露」は米政権が北朝鮮への早期の軍事行動を検討している証拠だと、結論づける政府関係者も出てきている。
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