リコー、背水の陣で挑む「脱コピー機依存」 ペーパーレス化が進む中、新たな事業を模索

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昨年4月の中期経営計画の説明会の場。就任からまもない山下社長は「これまでの改善努力だけでは19年度に赤字になる」と危機感をあらわにした。それ以降は一貫して”守備固め”に徹してきた。

生産拠点の統廃合や北米販売拠点の売却、半導体事業を行うリコー電子デバイスの一部株も3月に売却する予定だ。インドの子会社では不正会計が発覚し、2017年10月に追加の財務支援は行わないことも決定した。

「目新しさがない」という声も

ようやく成長へと舵を切り始めたリコーだが、同社が期待する分野はライバル勢も力を入れている。富士フイルムホールディングスは1月31日、子会社の富士ゼロックスと米ゼロックスの経営統合を発表。オフィス分野だけではなく、商用・産業印刷分野でもコスト削減や開発の競争力強化を狙う。キヤノンはすでに約1000億円で商業印刷を手掛けるオランダのオセ社を買収しているが、競争が激しく2017年度に同社ののれんの巨額減損に追い込まれている。

2017年4月の社長交代会見で「問題は現場で起こっている。会議室では解決できない」と語っていた山下良則社長(撮影:梅谷秀司)

リコーは強みのインクジェット技術を生かして他社が手掛けていない3D印刷や医療にも領域を拡大する構えだが、事務機器の落ち込みをカバーするのは容易ではない。

山下社長に今のリコーで何が一番課題だととらえているか聞くと、「10万人の社員が会社の方向性を理解していく風土を作りたい」と話す。実際、山下社長の就任以降、創業者の市村清氏を社内報で特集し始めるなど、社内の求心力を高める施策が行われてきた。

6日の成長戦略に関する説明会の内容については、翌7日に社員に対してメールで伝達されたという。あるリコー社員は「山下社長の就任以降、『何か山下社長がやってくれるかもしれない』と社員は期待感を抱いているが、今回の発表内容には目新しさがなかった」と話す。

厳しい市場環境の中、社員の士気を上げながらどのように一致団結していくのか。山下社長にとっては難しい舵取りが続きそうだ。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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