横浜DeNA岡村社長「バルサがいいお手本だ」 テレビ中継激減で球団経営のあり方は変化

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――今後はどのように成長を維持するのでしょうか。

まず、徹底的この横浜の地盤を厚く堅くしなくてはいけない。具体的に言うと、今は横浜スタジアムには約2万9000人しか入れず、年間70試合ほどしかない。つまり、どんなに頑張っても、年間200万人しか入れない。しかも、その200万人はすでにほぼ達成している(編集部注:2017年の観客動員は198万人)。そのため、2020年完成に向けて、現在横浜スタジアムは大規模な増改修に入っている。完成時には約35000人収容できる規模のスタジアムになる。

横浜スタジアムは関内駅徒歩2分という立地も魅力(写真:gandhi / PIXTA)

――ほぼ100%なんですね。

なので、現在のキャパシティだとチケット収入は頭打ち。チケットをあまり高くするとお客様が入りにくくなる。

ただ、昨シーズンのように日本シリーズに出たり、今度はセ・リーグで優勝したり、日本一になったり、常勝軍団になったりすれば、横浜ファンが熱狂して独特の空間をつくり、全国コンテンツになる可能性もある。

お手本はバルサ

(スペインのプロリーグ、リーガ・エスパニョーラのクラブの)FCバルセロナがいいお手本だ。バルセロナという都市とバルサは切り離せないが、世界的コンテンツでもある。今のスポーツは、その地域のアイデンティティをしっかり持ってローカライズすることが、普遍性を持つコンテンツになると思っている。

そうすれば、チケット、グッズ、広告収入を最大化できる。ただグッズは、試合に来たお客様に買っていただくだけではなくて、全国から通販で買ってもらえるようにしたい。全国コンテンツになっているカープさんがいい例。

要は、売り上げとか営業利益が3倍になってほしいと思っている。なぜかというと、政府は現在5兆5000億円のスポーツ産業を、10年後に15兆円に拡大させる目標を掲げている。当然、わが球団のコンテンツの価値というのも3倍にならなきゃいけないので、売り上げは3倍を目指す。

――売上高3倍はかなり意欲的な目標です。

興行だけでは難しい。ホームゲームは1年に約70日しかないから。だから、興行のない300日弱も、イベントなどを開催してスタジアムがあるこの街の交流人口を増やし、余暇消費をしていただきにぎわいをつくる必要がある。これはわれわれがスタジアムを持っているからこそできることだ。

われわれは「都市空間創造球団」になりたい。これはアメリカではすでに起こっている話だ。ニューヨークのブライアントパークなんかも、公園を民間が運営することによって、いろんなイベントを開催してにぎわっている。同じように、プロバスケのNBLのアリーナと野球のスタジアムが隣接していて街全体がスポーツのにぎわいをつくっているところもある。

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