「99.9」「BG」高視聴率が暗示するテレビの危機

「逃げ恥」「半沢直樹」「ミタ」とは真逆の作風

しかし、1話完結の事件・問題解決ドラマのフォーマットは、「毎週似た構成で物語が進み、最後の5~10分で円満解決」がお約束。安心感こそある反面、感情が揺さぶられたり、予想を上回られたりすることはほとんどありません。わかりやすく言えば、かつて中高年層をメインターゲットに放送されていた時代劇と同じフォーマットであり、予定調和を楽しむためのドラマなのです。

なぜ予定調和を楽しむドラマが過半数を超えるほど増えているのか? その答えは視聴率に尽きます。前述した「相棒」「科捜研の女」のロングシリーズ作に加え、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)など、近年1話完結の事件・問題解決ドラマは、高視聴率を記録しています。

視聴率を獲得するためには、リアルタイムでテレビを見てもらうことが必須条件。その点、1話完結の事件・問題解決ドラマは、「リアルタイムで気軽に見るのにちょうどいい」「1~2話見逃しても気にならず、また次週見られる」という理由で視聴率につながりやすいのです。

一方、連続性のあるドラマは、「録画やネットで好きな時間にじっくり見たい」「見逃さないように録画しておく」ためリアルタイム視聴が望みにくく、視聴率の面では絶対的に不利。プライム帯で放送するほとんどの連ドラを1話完結の事件・問題解決ドラマで固めているテレビ朝日が高水準の視聴率を記録していることもあって、他局も追随しはじめているのです。

「ドラマのTBS」が見せた看板枠の変化

なかでも象徴的なのはTBS。「99.9」が放送されている日曜21時の「日曜劇場」は、60年超の歴史を持つテレビ業界きっての名門枠であり、これまで続編を放送せず、つねに新たな作品を手掛け続けてきました。

しかし、記念すべき100作目となった「99.9」は、2016年4月期に続く「SEASONⅡ」。「日曜劇場」が、ついに続編を手掛け、しかも1話完結の事件・問題解決ドラマだったのです(これまで唯一、続編が放送された「JIN-仁-」は、1話完結の事件・問題解決ドラマではなく、長編を2回に分けた形でした)。

また、約45年もの歴史を持つ金曜22時の「金曜ドラマ」にも気になる点があります。今冬の「アンナチュラル」を手掛ける野木亜紀子さんは、現在最も注目を集める旬の脚本家。2016年に「重版出来!」「逃げるは恥だが役に立つ」(ともにTBS系)で、連ドラらしい連続性のある群像劇を描いて絶賛を集め、次作が注目されていましたが、フタを開けてみたら1話完結の事件・問題解決ドラマだったのです。

次ページなぜ今旬の脚本家に1話完結のドラマを書かせる?
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