「五輪の経済効果」は本当に正当化できるのか 雇用への好影響はごく限られた分野しかない

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平昌冬季五輪の前に知っておくべきオリンピックの課題とは?(写真:AP/アフロ)
北朝鮮政府は平昌(ピョンチャン)五輪への参加と引き換えに米韓合同軍事演習の延期を要求。東京都知事が発表する2020年東京大会の開催経費は膨らみ続け、いまや総額2兆円超――。
こうした「オリンピックと政治」の問題に関する専門家が、『オリンピック秘史――120年の覇権と利権』の著者ジュールズ・ボイコフ氏だ。かつて米国のサッカー五輪代表選手として国際試合の舞台に立ち、現在はパシフィック大学教授を務める異色の政治学者が、平昌大会を前に知っておくべきオリンピックの課題を論じる。

米朝に振り回される平昌

2018年平昌冬季五輪の開催が2月9日に迫るなか、国際的な緊張が大きく高まっている。ドナルド・トランプ大統領は北朝鮮がアメリカをこれ以上脅かせば「世界が見たこともないような炎と怒り」を浴びせると述べ、金正恩はグアムを焼け野原にすると言って脅した。核戦争への懸念が大きくなり、主だったIOC委員までが政治問題に踏み込んだ。カナダのIOC委員で、IOCで主導的な役割を担うリチャード・パウンドは、「関係者のなかに情緒不安定な指導者が少なくとも1人いる。その人物が何をするかは誰にもわからない」と述べた。

政治上、平昌は一触即発の危険な位置にある。韓国と北朝鮮のあいだの軍事境界線に沿って広がる非武装地帯からたった80キロメートル離れているだけなのだ。日本の小野寺五典防衛大臣は、北朝鮮による核の脅威は「前代未聞で、重大かつ切迫した水準に達している」と言い切った。フランスのスポーツ大臣は、安全が確保されなければ大会に選手を派遣することを控えると述べた。オーストラリアも同じようなことを言っている。

一方、イギリスは自国の選手のために緊急避難計画を用意していることを発表した。韓国の公安当局は、オリンピックの開催に伴う例外状態を利用し、監視カメラと顔認証システムを追加するとともに、軍用ドローンを増加した。これまでのオリンピックのときと同様に、これらのテクノロジーは大会後にも残され、日常の警察活動に用いられる。

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