花王、「おむつ絶好調」でも安心できない事情 「営業利益2000億円」の大台突破だが課題山積

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それだけではない。インバウンド(訪日外国人客)を取り込めていないことも大きな課題だ。かつては、花王のブランドである「suisai(スイサイ)」から出した酵素洗顔料が訪日外国人の人気を博したが、それ以降はヒット製品が出てきていない。資生堂やコーセーがインバウンドを取り込む中で、”日本製”という強みもアピールできていない。

ある中国の化粧品専門店オーナーは「日本のスキンケアでは資生堂やアルビオンの人気が高い。花王のスキンケアは他社製品に比べてあまり特徴を伝えきれていない印象だ」と語る。

巻き返しを図る2018年

そこで花王は次の一手として「キュレル」を化粧品事業に組み入れる。「キュレル」は敏感肌用スキンケアで同シリーズの売上高は2012年から2ケタ成長を続ける。

敏感肌用スキンケアの「キュレル」を中心に化粧品の商品構成を拡充していく(記者撮影)

インバウンドも好調で、アジアでの販売も強化している。「キュレル」を組み入れることで化粧品全体の商品構成を拡充し、さらには価格帯によって販売戦略も変えていくという。

さらに新製品の投入に向けた動きも出てきた。2017年はポーラと資生堂が医薬部外品のシワ改善美容液を発売したところ、瞬く間に大ヒット商品となった。「これまで花王でも研究開発を進めてきたが、さらにエビデンスを高めようと一度ひっこめた経緯がある。そのため一番後発になってしまった。シワ取りにかぎらず、よりレベルを高めたインパクトのある製品を出したい」(澤田社長)。

2018年12月期は売上高1兆5400億円(前期比3.4%増)、営業利益2150億円(同5.0%増)を計画する。新年度に入った1月には子会社のカネボウ化粧品と販社を一本化し、美容カウンセリング会社を新たに設立するなど、早くも策を打ち始めている。

国内化粧品市場で巻き返しを図ることができるか。花王の化粧品部門にとって2018年は正念場となりそうだ。

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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