「入院が必要な手術」の年間件数ランキング 70代で5割が罹患する「国民病」の実態とは

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白内障手術を受けることによる社会的な負担の軽減と、視力の低下を防ぐことによる労働生産性の維持の効果は数千億円とも試算されており、特に、65歳未満の就労世代においては、手術療法が薬物療法の医療費を上回る以上の効果が見込めると考えられます。高齢者でも転倒防止等の効果が期待できるでしょう。

また、白内障は、緑内障や糖尿病と並んで中途失明原因の1つとなっています。自分または身近な人で白内障の疑いがある場合は、早めに診察を受けることが必要です。

保険適用外の先進技術による手術も

水晶体再建術には、公的医療保険の対象となる単焦点のレンズを使用するものと、公的医療保険の対象にはならない多焦点のレンズを使用するものがあります。患者にかかる負担は、公的保険が使える単焦点のレンズで、自己負担3割の場合は5万円程度です。生命保険に加入していれば、白内障手術やそれに伴う入院は給付対象であることが多いため、患者の負担はさほど大きくありません。

多焦点レンズの場合は、先進医療で公的保険が使えないため、30万~50万円と高額です。実施件数は単焦点レンズの1%弱と少ないですが、遠方・近方両方に焦点を当てることができるということで近年増加傾向にあります。

2016年の日本眼科学会の報告によれば、多焦点レンズのほうが、期待が高い分、手術後の不満が多い傾向があるようです。手術がそもそも向かない患者もいます。手術を選択する場合は、主治医としっかり相談することが必要でしょう。

村松 容子 ニッセイ基礎研究所保険研究部 准主任研究員

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むらまつ ようこ / Yoko Muramatsu

死亡・疾病発生リスクについて、統計的にその発生状況を算定すること、および、消費者調査を通じて消費者がどのようにリスクに対応するのかを研究。国が公表している疾病統計以外にレセプトデータ、健診データ、健康に関する消費者の意識調査などを使ってさまざまな視点から分析している。ニッセイ基礎研究所の著者ページはこちら

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