災害復旧に「地元の建設業者」は必要不可欠だ 経営基盤として「小水力発電」が有望

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この問題への対策として、建設業者の新分野進出を促し、経営を安定させる施策が各地で講じられるようになってきています。インフラ維持のためにも、地場の建設業者は欠かせない存在なのです。

こうした建設業者の新規事業としては前回(山村を消滅から救う「小水力発電」とは何か)も述べたように、「小水力発電所」が極めて有望だと思います。

2012年に始まったFIT制度(固定価格買取制度)のお陰で、小水力発電事業により20年間安定した収入が見込めます。

太陽光などと違って、昼夜・年間を通して発電量もほぼ一定しています。どうしても売り上げに波がある中、給料や重機のリース代など固定費を払い続けなければいけない建設会社にとって、これは大きな魅力です。

「建設業者は小水力発電と相性がいい」

また、「建設業者は水力発電と相性がいい」ということがあります。これは、『小水力発電が地域を救う』で紹介した、富山県で早くから水力発電事業に取り組んだ建設会社社長の言葉です。

太陽光・風力・地熱・バイオマスなど再生可能エネルギーにはさまざまな種類がありますが、発電所建設費に占める土木工事費の割合が高いのが水力発電の特徴です。既存水路を利用するケースを除けば、総工事費の50~80%程度を土木工事が占めます。

事業主体が建設会社なら、工事は自分たちでできますし、発電所のメンテナンスも建設業のノウハウを使うことができます。被災した場合も自分たちですぐに復旧することがきるなど相性がいいのです。

小水力発電事業に参入することは、繰り返しになりますが経営の持続性を高め、地域のインフラ整備の面でも社会的な意義があるのです。消滅の危機にある山間地を守り、強靭な日本をつくるうえでも重要な役割を担うことになるのです。もちろん、日本が立ち遅れている温暖化対策の面でも貢献できます。

山間地を抱える地域の建設会社の皆さんは、ぜひ一度、真剣に小水力発電事業への参入をご検討していただきたいと思います。

中島 大 全国小水力利用推進協議会事務局長

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なかじま まさる / Masaru Nakajima

一般社団法人小水力開発支援協会代表理事。1961年生まれ。1985年、東京大学理学部物理学科卒業。株式会社ヴァイアブルテクノロジー取締役などを経て現職。その間、分散型エネルギー研究会事務局長、気候ネットワーク運営委員などを歴任し、小水力利用推進協議会、小水力開発支援協会の設立にも参画する。現在、全国各地の小水力発電事業のサポート、コンサルティングなどを行っている。主な論文・著作に「転換期に来たエネルギー問題」(『経済セミナー』1994年11月号)、「低炭素革命に必要なエネルギー制度設計」(『経済セミナー』2008年9月号)、自治労自然エネルギー作業委員会報告書『エネルギー自治の実現を目指して』(共著、2005年4月)、連載「地方自治体の地球温暖化対策」(共著、『地方財務』2008年4月号~2009年6月号)などがある。

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