「卓球の競技人口は増えているけど、“やる場所”が足りないんですよ」
スヴェンソンスポーツマーケティングの山下亮社長は、開口一番そう切り出した。
山下社長は、T4を立ち上げる前、新たな角度から卓球シーンを盛り上げるための構想を練っていた。そこで、世界の卓球文化を目にしようと渡米を決断。立ち寄ったニューヨークでは「SPiN New York(スピン・ニューヨーク)」というナイトクラブのような卓球バーが展開しており、従来の日本とは違う卓球の在り方を、山下社長は目撃した。
「ニューヨークでは、“ガチ”で打ち合うような卓球はしていませんでした。音楽をガンガンかけてお酒を飲みながら、みんなで卓球を楽しむ。そういう文化が根付いていたんです。このような卓球スペースを提供することで、違う角度から『卓球って面白いな』と感じてもらえる。そんなお店を作りたいと思いました」
その後、山下社長は「ラリーコミュニケーションテーブル」をコンセプトに、「飲んで」「食べて」「楽しく」「腕を磨く」という4つの要素を組み込んだT4を開業。流行の最先端が集まる渋谷の地に、新たなトレンドを生み出した。
それも、ただの卓球バーではない。1階のエントランスには、卓球男子日本代表オフィシャルサプライヤー「VICTAS(ヴィクタス)」のブランドショップがあり、様々な卓球用品を取り揃えている。
卓球台には、打球の軌跡や速度をデータ化できる「卓球トラッキングシステム」を導入。ラバー等を購入した後、すぐに試し打ちで利用することができる。
地下1階には、実業団の所属選手などがコーチとして指導する卓球スクール「TACTIVE(タクティブ)」もオープン。卓球初心者や「久々にやりたくなった」という部活経験者、もちろん「上手くなりたい」と競技力向上を目的とした人も、一流目線からの教えをうけることができる。
「卓球をやりたい人は増えています。ただ、やる場所が少ない。卓球ができる環境と、教えてくれるコーチ、その普及と底上げが必要です。競技としてのブームが続いていても、できなければ意味がない。そういう場を広げていくことが、ビジネスモデルのコンセプトなんです」
施設と育成の普及を日本卓球界の課題に挙げた山下社長は、パラリンピック選手にも目を向けていた。パラスポーツにおいて、練習環境が十分に整っていないことが現状としてある。そこで同スクールでは、パラリンピック卓球日本代表選手の練習場として場所を提供。
2年後の東京大会に向け、こういった企業の支援が、メダル獲得への大きな鍵となるかもしれない。
卓球の未来のカタチを示した『PONG!PONG!』
T4の地下には貸切可能なVIPルームが用意してあり、広々とした空間で卓球を楽しむことができる。ここの卓球台には、卓球アクティビティ『PONG!PONG!』を導入。卓球台にプロジェクションされたブロックを、リアルのピンポン球で破壊して点数を競い合う、まさに未来型の卓球ゲームだ。新感覚のMR(Mixed Reality:現実と人工的な仮想空間を融合した複合現実)を体験できることがウリだ。
開発したアカツキは、人気のスマホ向けRPG『サウザンドメモリーズ』などのゲームを提供するなど、多くのスマホ向けゲームを開発している。また同社は、ゲームによる「リアルな体験」を手掛けていく、ライブエクスペリエンス事業を2016年6月にスタート。誰も見たことのない新しい遊びを創出する研究所「あそびラボ」も2017年6月に発足した。
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