知っておくべき中国の社交儀礼
このような公式イベントやビジネス・ミーティングを円滑に行ううえで重要な原則が、「肩書き主義」と「カウンターパート主義」です。相手方が総経理(日本の社長に相当)を出してくる場合には、こちらも総経理が出席しなければなりません。国と国との外交でも、中国では同格の役職者同士が話し合う原則が厳しく貫かれます。ですから、習近平国家主席とオバマ大統領の会談を報じるChina Daily紙は、わざわざ「President Xi Jinping meets with his US counterpart Barack Obama in St. Petersburg.」と書いて、中国の国家主席はアメリカ大統領と同格であることを強調しています。
そして、肩書の高い偉い人がエラそうに振る舞うのが中国の作法です。たとえばグループでの食事会のとき、中国では支払いはひとりが全員分を負担します。原則として、招待した人、偉い人、おカネを持っている人が払います。おごってもらった側は日本式に「すみません」とか「ごちそうさまでした」と言う必要はありません。これが当たり前の作法だからです。
友人同士のプライベートな食事会では、特に招集者が明確でない場合もあるので、支払う段になって「俺に払わせろ」と争いになることもよくあります。皆の分をまとめて払うのは、大変メンツが立つことだからです。もちろん、食事をおごって友人に恩義を感じてもらえば、いつか何倍にもなって返ってくる可能性があると信じてやっている実利的な面もあるでしょう。
ともかく、基本的に割り勘はありえません。最近、ようやく若い人たちの間で、中国語で「AA制(エイエイジー)」と呼ばれる割り勘での支払いが見られるようになりましたが、ビジネスなどの公の場面では「偉い人にエラそうに振る舞っていただく」のが中国式作法です。
現政権が進める綱紀粛正政策により、政府高官の地方出張やイベント参加の際の接遇は以前より質素になっています。しかし、「上に政策あれば下に対策あり」というフレーズに象徴されるしたたかさを持つ中国の人たちの儀礼や作法は、そう簡単には変わらないものだと思います。
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