寓話・北風と太陽には「北風勝利」編もある スピーチのネタに使える、古今東西の教訓
解説:状況に適した手段を選ぶ
この話の教訓は、何事においてもそのつど適切な手段を選ぶことが肝要であるということだ。旅人の帽子をとるには北風が適していた、上着を脱がせるには太陽が適していたということだ。要するに臨機応変の大切さを説いている。
一般的に、年をとればとるほど素直さは消えていく。逆に、頑固さは増すばかりである。「人の意見は40まで」(40歳をすぎた人に意見をしても効き目がないこと)ということわざがあるくらいだ。臨機応変であるためには頑固であってはならない。社会で成功している人や組織ほど、自信を持っているという意味で頑固である。
しかし、過去にうまくいったからといって、これからもずっとうまくいくとは限らない。成功は人を頑固にする。成功の記憶はときに耳栓になる。まわりの環境が変わってしまっているのに、過去の勝ちパターンにしがみつくことはよくあることだ。時が変われば、選ぶべき手段が違って当然である。熟慮のうえ、適切な手段を選ばなければならない。
水槽の中のカマス
水槽の真ん中に透明なガラスの仕切りをつくり、一方に数匹のカマスを入れ、もう一方にカマスの餌になる小魚を入れた。カマスは餌を食べようとして突進するものの、ガラスの仕切りにぶつかってはね返される。何度も何度も繰り返すうちに、とうとう諦めてしまった。その後、透明なガラスの仕切りを取り除いても、カマスはけっして小魚のいる方へは行こうとしなかった。
しばらくしてから、新入りのカマスを水槽に入れた。すると、何も知らない新入りは、一直線に餌に向かって突進した。それを見ていた古株のカマスたちは「あの餌は食べられるんだ」ということに気づき、先を争って餌に向かって突進した。
解説:組織の殻を破るのは、異質な人材
カマスは再三にわたり餌の小魚に向かって突進した。しかし、透明なガラスの仕切りに何度も阻まれるうちにだんだんやる気をなくし、ついには、餌を追わなくなってしまった。「学習性無力感」(米国の心理学者マーティン・セリグマンが発表した理論)と呼ばれる状態に陥ったのである。これは、努力を重ねても望む結果が得られない経験や状況が続くと、「何をしても無意味」だと思うに至り、努力を放棄してしまう現象である。
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