寓話・北風と太陽には「北風勝利」編もある スピーチのネタに使える、古今東西の教訓

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こういう無気力状態に陥っている組織は少なくない。無気力は個人の中で学習されて、蓄積されていく。それだけでなく、失敗したことがない人間にまで疑似体験として伝染していき、組織全体に広がる。無気力感が蔓延している組織に活を入れるには、その組織に異質な人材を入れることだ。転職者や新入社員が異質な人材の典型である。彼ら彼女らは、無知ゆえの強さ、経験がないがゆえの強さ、非常識ゆえの強さを持っている。

半分の煎餅

お腹をすかせたある男が、お菓子屋さんで七枚の煎餅を買った。さっそく男は家に戻って、煎餅を食べはじめた。1枚食べ終わったが、お腹はふくれない。2枚目を食べるが、まだお腹がふくれない。3枚目、4枚目、5枚目、6枚目と男は次々と煎餅を食べた。それでも、空腹がおさまらない。

残った煎餅は1枚だ。あと1枚しかないので、残った煎餅を2つに割って食べることにした。すると、今度はお腹が一杯になった。その男は残った半分の煎餅を手に持ちながら、悔しそうに言った。「俺はなんて馬鹿なんだ。半分の煎餅でお腹が一杯になるんだったら、前の6枚は食べなくてもよかった」

解説:わずかな変化をばかにしてはいけない

馬鹿みたいな話である。六枚の煎餅を食べたことを忘れ、半分の煎餅だけで腹がふくれたと勘違いした男は、「日々の積み重ねが大きな成果を生む」ことを分かっていない。「〈1.01〉と〈0.99〉の法則」を紹介しよう。1.01は1よりわずかに大きい。0.99は1よりもわずかに小さい。両者の差はたった0.02。しかしながら、このわずかな差が積み重なると、大きな違いが生まれてくる。

実際にこの2つを365回かけるとどうなるか。1.01の365乗は37.78 、0.99の365乗は0.026になる。こんなにも大きな差が生まれることに誰もが驚くだろう。言うまでもなく365という数字は一年間を意味する。日々1%だけ余分に努力を続けた人と、日々1%だけ手を抜いた人とでは、一年間でここまで差がつくのだ。

人生は小さな選択の積み重ねである。その選択が、一年後のあなたの人生を決める。あなたは、1.01を選ぶ? それとも0.99を選ぶ?

目をなくしたカバ

1頭のカバが川を渡っているときに自分の片方の目をなくした。カバは必死になって目を探した。前を見たり、後ろを見たり、右側を見たり、左側を見たり、体の下を見たりしたが、目は見つからない。

川岸にいる鳥や動物たちは「少し休んだほうがいい」と助言した。しかし、永遠に目を失ってしまうのではないかと恐れたカバは、休むことなく、一心不乱に目を探し続けた。それでも、やはり目は見つからず、とうとうカバは疲れはてて、その場に座りこんでしまった。

カバが動きまわるのをやめると、川は静寂をとり戻した。すると、カバがかき回して濁らせていた水は、泥が沈み、底まで透きとおって見えるようになった。こうして、カバはなくしてしまった自分の目を見つけることができた。

次ページ寓話「目をなくしたカバ」の教訓とは?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事