今から知っておくべき「定年後再雇用」の現実

60歳以降の給与大幅減を補う給付制度とは

こうした制度や長寿化を見据えて60歳以降も働くことは当然という風潮が強まっていますが、ひとつ留意しなければならないことがあります。それは、再雇用後の給与が大抵の場合は大幅に引き下げられてしまうという事実です。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「高年齢者の雇用に関する調査」(2016年5月)によると、フルタイム勤務の継続雇用者の61歳時点の賃金水準を、60歳直前の賃金水準と比較した調査では、60歳直前の賃金を100とした場合、「60以上70未満」にあたる企業が18.3%で最も多くなっています。

また、少し古い調査になりますが、東京都産業労働局「高年齢者の継続雇用に関する実態調査」(2013年)では、定年時を10割とした場合の現在の賃金水準は「5~6割未満」が23.3%、「6~7割未満」が22.6%となっています。

本来の定年を迎える前に、すでに「役職定年」によって役職を外され、給与が下がっている方も少なからずいるでしょう。しかし、定年退職後の再雇用となると、その格差はいっそう大きなものとなります。

知っておかないと損をする「高年齢雇用継続給付」

そこで、ぜひとも知っておきたいのが「高年齢雇用継続給付」です。これは、原則として60歳時点の賃金と比較して、60歳以後の賃金が60歳時点より75%未満となっている場合に本人に支給される雇用保険制度のひとつです。

高年齢雇用継続給付の支給を受けている従業員がいる企業は51.7%となっており、規模の大きい企業ほど支給を受けているという回答の割合は高くなっています。業種別でみると、輸送用機械器具製造業(72.3%)、金融・保険業(71.9%)、一般機械器具製造業(68.5%)といった業種で支給を受けているという回答の割合がとりわけ高くなっています(前出の「高年齢者の雇用に関する調査」)。

対象となるのは、雇用保険に5年以上加入している60歳以上65歳未満の一般被保険者。

ただし、支給限度額(2018年1月時点で35万7864円。毎年8月1日改定)を超えて給与をもらっている場合は、対象となりません。また、支給対象月に、支払いを受けた給与額と高年齢雇用継続給付として算定された額の合計が支給限度額を超えるときは、支給限度額から支給対象月に支払われた給与の差額が支給額となります。

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