「iPhone中毒」対策は、アップルの責任なのか 大株主が公開書簡で提案したこととは?
10代の若者の成長過程において、iPhoneやiPhoneを通じたSNSを活発に使うことは、悪影響を及ぼすとの研究結果が、アップルへの公開書簡に多数示されていた。
カナダのアルバータ大学の調査によると、67%の教師がデジタルテクノロジーの進出による生徒の注意力散漫を認めており、75%の教師が学習活動に対する集中力を欠いていると答えている。またスマートフォンにのめり込んでいる生徒たちは、感情的になったり、抑うつや睡眠障害となる確率が高まるという。
加えて、米国心理学協会の調査によると、親3500人の58%がSNSに対して子どもの肉体的・精神的な成長への影響を懸念しており、48%が子どもとの間で「スクリーンタイム」(デジタルデバイスを使う時間)のルールについて日常的にケンカをしていた。また58%が、自分たちの子どもがスマホやタブレットの付属品のようだ、とも答えている。
またスマホ中毒に対して、子どもたち自身も自覚症状があるようだ。アメリカの平均的な10代の子どもたちがスマートフォンを手にするのは10歳で、メッセージや通話を除いて平均4.5時間を費やしている。78%が少なくとも1時間に1度はスマホを確認しているが、50%の子どもたちは「スマホ中毒」であると感じているという。
親は孤独な戦いを強いられている
こうした状況の中で、前述の米国心理学協会の調査によると、94%の親が子どものテクノロジー利用を管理しようとしたという。しかし公開書簡では、その対策は非現実的であり、長年にわたって業界の取り組みが弱いことで、親は孤独な戦いを強いられており、アップルが親とパートナーシップを組み、次世代の顧客の健康や正しいあり方を守る方法に取り組むことべきだというのが主張だ。
公開書簡の背後には、20億ドル規模のアップル株主がおり、アップルとしては真摯に受け止めるべき理由がある。一方で、これらの主張をすべてアップルが解決できるか、と言われると疑問も浮かび上がる。
スマートフォンを製造しているのは確かにアップルであり、その上で動作するアプリ開発環境を与えていることにも間違いはない。しかしコミュニケーションの文化をアップルが築いたわけではなく、また中毒に陥るようなメッセージアプリやSNS、ゲームなどを作っているのもアップルではない。
その一方で、最新のアプリを快適に動作させたり、SNSにすばらしい写真を共有できる点をアップルは新型iPhoneの訴求に活用しているし、前述のとおりアプリの売り上げの15~30%を手数料として受け取っていることから、スマホ中毒がアップルのビジネスにプラスに働いているとの見方は否定できない。
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