デキる人は「質問するだけならタダ」と考える 「忖度しない」をドイツ人に学ぶ
日本なら、いきなり「その仕事は本当に必要ですか?」と聞いたりしたら、瞬時に空気を読めない人だと認定されてしまうかもしれません。私も、最初はドイツでこの質問を受けたとき、「必要だから任せようとしているのに決まっているじゃないか」と、心外だと感じました。
しかしそのときは、ある仕事を明朝までにやってもらうように依頼しようとしていたのですが、よくよく考えてみると、どうしても明日の朝までにやらなければならない理由が見つからない。
もし「クライアントが困るから」という理由なら、「困るなら、クライアントがもっと早くに依頼できるよう、自分が努力するべきだった」という結論になるだけです。相手が納得する「理由」にはなりません。
部下に指示を出すときの工夫
ドイツ人は合理的なコミュニケーションを望みます。したがって、何かを命じると「なぜ、私がそれをしなければならないのか」「いつやらなければならないのか」「どのような目的があるのか」と質問攻めにされます。
「上がそう求めているから」「みんながやってきた仕事だから」といった理由では納得しないのです。
私がドイツ人に仕事を頼むときは、特に急いでいるものは「私は急いでいます。悪いけど、明日の朝までに頼めないか?」とハッキリ言うことにしていました。彼らはできるなら「できる」と言い、できないときは「できない」とキッパリ言ってくれるので、対応策を考えられるのです。
このとき、なぜこのタイミングで必要なのか、どれくらいシビアなのか、もしも間に合わなかったら何が起こるかも説明します。相手も「なぜ、この日に必要なのか?」と聞いてきますから、納得できる説明をしなければなりません。
ドイツ人はムダな仕事をするのを嫌がります。だから、その仕事が明日の朝までに必要な理由をきちんと説明できないと、納得して引き受けてくれないわけです。
たとえば、その資料は「私が必要としている」のか「顧客が必要としている」のか、あるいは「何のために必要なのか」をきちんと説明する。さらには、「その業務をすることで、うちの会社の利益が○%上がるから」といった明確な理由を伝える。そうすることで、納得して行動してくれるので、それが生産性向上にもつながります。
ドイツには「なるはや」に該当する言葉はありません。ドイツに限らず、海外では以心伝心や暗黙の了解など通用しないので、すべて言葉に出して相手に伝えなくてはならないのです。
それを何回か経験してから、私は指示を出すときに、どんなに急いでいても目的や効果、理由を丁寧に説明するように努めました。そうすれば快く引き受けてもらえたのです。
これはチーム運営を円滑にするための基本ではないか、と思います。
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