アナログ店長のデジタル化を阻む壁は、日本の求人ビジネス業界の構造にも原因があります。日本は、リクルートに代表されるように、世界に類を見ないほど求人広告メディアが発達しています。各求人広告メディア会社には営業マンが多数在籍。彼らが採用担当者の多岐にわたる要望に応えつつ、採用プランを練り求人広告に落とし込んでいく、というのが求人の一般的スタイルとして定着しています。
たとえて言うなら、サザエさんに登場する三河屋さんのような存在がたくさんいるということです。三河屋さんは、しょうゆやビールを届けてくれるだけではありません。もうすぐみそが切れそうだと察知して、頼んでもないみそを先回りして持ってきてくれたりします。日本においては、採用担当者と求人広告営業マンの間にそういった親密な関係性が出来上がっています。
アナログ店長が、仮に使い慣れない求人サイトを利用したとします。そのときに発生する煩わしいデジタル作業は、求人広告営業マンが代替するケースも少なくありません。この依存体質がアナログからデジタルに進化できない大きな理由なのです。
作業が煩わしいだけでなく、料金体系もわかりづらい
インディードの料金体系もアナログ店長を悩ませます。インディードの有料広告はグーグルと同じく1クリック当たりの単価を入札し、その単価によって表示順位が決定されていく仕組みです。
求人広告の料金は、求人誌の時代に「広告枠の大きさ」で料金が決まるという体系が確立されました。これは採用担当者にとっては明朗会計と言ってもいい、わかりやすい料金システムです。このシステムに慣れ親しんできたアナログ店長にとっては、インディードの料金体系は複雑化した携帯電話の料金プランと同じくらい摩訶不思議な世界に映っているはずです。
一方、某居酒屋チェーン大手の本部でアルバイト採用責任者を担当するBさんは、Webマーケティング会社からの転職組で、インディードも使いこなしています。彼は、前職で培ったWebマーケティングスキルを総動員し、既存の求人メディアだけでなく、あらゆる手段を駆使しながらコストパフォーマンスを重視した採用活動を実践しています。
AさんとBさんの採用力には、雲泥の差が存在します。求職者1人当たりに何個の仕事があるかを示す有効求人倍率は1.5倍を超え、少子化も手伝って空前の人手不足は2018年も続きます。アナログ店長が従来型の採用に終始しているようでは、この人材難を戦っていけません。
かといってAさんに今からデジタルスキルの習得を迫るのは拷問のようでもあります。少なくとも本部の採用セクションには、BさんのようなWeb、ITのデジタル知見をもったタレントが必要な時代に突入したのかもしれません。
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