あるアパレル企業に勤務する30代女性のAさんは昨年、首都圏郊外店の店長に昇格しました。業績の振るわない同店の立て直しのため、白羽の矢が立ちました。まるでパラシュートで戦場の最前線へと降り立った「落下傘店長」です。
赴任した職場は6人のスタッフで運営する小規模店。人間関係が色濃く反映される環境でした。ただ、Aさんを困らせたのはスタッフが6人ともAさんより年上のベテランスタッフだったことです。もともとこの店の業績が悪化したのは、6人のベテランスタッフそれぞれにこだわりが強く、必然的に職場に不協和音が絶えなかったのが原因でした。
まさに敵地にパラシュートで降下する兵士のような状況。Aさんはいろいろと努力したものの、年上の部下たちはAさんの打ち出す方針を受け入れず、個々のやり方を貫く日々が続きました。Aさんは今年、軽いメンタル障害になり、まだ回復の出口は見えていません。
この事例に限らず、年上のベテランが存在感を発揮している職場に、新任店長として乗り込んでいくというのは、サービス業界の構造上なかば避けられません。そしてその多くの店長が、年上の部下をうまく仕切ることができずに悩んでいます。
スーパーで幅を利かせるお局様にタジタジ
ベテランスタッフが多くいる職場としてまず思いつくのが、スーパーでしょう。入れ代わりの激しい大学生やフリーターよりも、安定収入で家計を支えるために辞めずに頑張る主婦のパートが多い職場です。おのずと長期間勤務するベテランのシェアが高まってしまいます。そういったベテランパートの中でもひときわ影響度が高いのが、いわゆる「お局様」です。
「お局様」は、だいたいにおいて長年の勤務経験から仕事自体はできます。ただし、周りよりも実年齢が高く勤続年数が長くなると、どうしても自制心が緩んできます。「自分が後輩パートに指導したことを自分ができていない」「ミスをしても謝らない」「他人の指摘はすべて批判」などといった振る舞いが見られます。
これが店長にとっては、頼りにはなるが取り扱いの難しい存在でもあります。
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