「年上スタッフ」に翻弄されまくる店長の憂鬱 「お局様」や「古株のナンバー2」が厄介だ

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ラーメン屋を営む元ナンバー2のCさんは、逆の視点から話してくれました。

「いままで2人で店を作り上げてきた信頼できる店長が人事異動で店を移って、いよいよ、自分がこの店を任されるのか、と思ったら、違う店から店長がやってきました。正直、なんで俺がこんな冴えない店長の下に?と思いましたよ」

Cさんは、悶々とする中、ついアルバイトスタッフを抱え込むようなコミュニケーションをとってしまい、本意ではなかったものの店長を孤立に追いやってしまった、と振り返ってくれました。それが気に入らなかった店長は、職場の規律を重んじるハードマネジメントに徹し、結果、その店にいたバイト6人全員が辞めたとのこと。新任店長にとっては、ある意味すごくやりにくい状況でもあり、気の毒な一面もあります。ナンバー2の反感を理解し、共感に変えられないと職場はうまく回りません。

お局様しかり、古株のナンバー2しかり、その職場で影響力を持った面々をマネジメントしなければならない店長は本当に大変です。しかもこうした新任落下傘店長の問題は、今後ますます拡大します。

まず、労働力が高齢化すればするほど、業界特性上比較的若い年齢で昇格することが多い店長との年齢格差は広がります。

職場にベテランが増える

2018年度からは「無期転換ルール」が本格実施されるようになります。改正労働契約法で、契約更新が繰り返されて通算5年を超える契約社員が、期間の定めのない労働契約を結ぶことができ、アルバイト・パートの無期雇用化が進みます。

当然、従業員の勤続年数が増え、職場にベテランが増えるでしょう。もちろん労働者の雇用安定、離職防止による職場の安定といった正の効果はあるでしょうが、新任の落下傘店長にとっては、職場マネジメント力がさらに問われることになります。

そもそも日本に根づく儒教的精神によって、目上の人へ敬意を払うことは、われわれに刷り込まれている根源的価値観です。だから年上の部下へのコミュニケーションを必要以上にデリケートに考えがちなのです。そういった観点でいけば、サービス業新任店長は、かなり難易度の高い職場コミュニケーションが求められるといっても過言ではないかもしれません。

平賀 充記 ツナグ働き方研究所 所長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひらが あつのり / Atsunori Hiraga

人材開発コンサルタント/組織コミュニケーション研究家/若者キャリア研究家。1963年長崎県生まれ。同志社大学卒業。1988年リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。主要求人媒体の全国統括編集長を経て、2012年リクルートジョブズのメディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年ツナグ・ソリューションズ取締役。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。著書に『非正規って言うな!』(クロスメディア・マーケティング)『神採用メソッド』(かんき出版)『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)がある。
ツナグ働き方研究所オフィシャルサイト「ツナケン!」:https://tsuna-ken.com/

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事