ラーメン屋を営む元ナンバー2のCさんは、逆の視点から話してくれました。
「いままで2人で店を作り上げてきた信頼できる店長が人事異動で店を移って、いよいよ、自分がこの店を任されるのか、と思ったら、違う店から店長がやってきました。正直、なんで俺がこんな冴えない店長の下に?と思いましたよ」
Cさんは、悶々とする中、ついアルバイトスタッフを抱え込むようなコミュニケーションをとってしまい、本意ではなかったものの店長を孤立に追いやってしまった、と振り返ってくれました。それが気に入らなかった店長は、職場の規律を重んじるハードマネジメントに徹し、結果、その店にいたバイト6人全員が辞めたとのこと。新任店長にとっては、ある意味すごくやりにくい状況でもあり、気の毒な一面もあります。ナンバー2の反感を理解し、共感に変えられないと職場はうまく回りません。
お局様しかり、古株のナンバー2しかり、その職場で影響力を持った面々をマネジメントしなければならない店長は本当に大変です。しかもこうした新任落下傘店長の問題は、今後ますます拡大します。
まず、労働力が高齢化すればするほど、業界特性上比較的若い年齢で昇格することが多い店長との年齢格差は広がります。
職場にベテランが増える
2018年度からは「無期転換ルール」が本格実施されるようになります。改正労働契約法で、契約更新が繰り返されて通算5年を超える契約社員が、期間の定めのない労働契約を結ぶことができ、アルバイト・パートの無期雇用化が進みます。
当然、従業員の勤続年数が増え、職場にベテランが増えるでしょう。もちろん労働者の雇用安定、離職防止による職場の安定といった正の効果はあるでしょうが、新任の落下傘店長にとっては、職場マネジメント力がさらに問われることになります。
そもそも日本に根づく儒教的精神によって、目上の人へ敬意を払うことは、われわれに刷り込まれている根源的価値観です。だから年上の部下へのコミュニケーションを必要以上にデリケートに考えがちなのです。そういった観点でいけば、サービス業新任店長は、かなり難易度の高い職場コミュニケーションが求められるといっても過言ではないかもしれません。
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