2018年もすでに12月28日のホープフルS開催が決定しており、この日程変更が失敗に終わってももう一年我慢しなければならないことも考えられた。有馬記念の売り上げ減は本当に「買い控え」だったのか。ホープフルSと東京大賞典の売り上げがどうなるかは大きな焦点だった。
ここまで悲観的な材料を並べてきたが、結果は簡単に言えば「取り越し苦労」だった。ホープフルSの売り上げは112億4769万4500円でGⅡだった一昨年との比較で362.9%の大幅増は当然だが、日曜日の12月17日に阪神で開催された同じ2歳GⅠの朝日杯FSが133億9761万2200円で、平日開催ということを考慮すれば比較しても悪くない数字だ。3月末に中京で開催された高松宮記念の111億4717万7100円よりもホープフルSは上回っている。
12月28日の入場者数は3万77人で朝日杯FS時の阪神競馬場の2万6513人よりも多い。JRA関係者でさえ「80億円程度で100億円を超えれば十分」という見方をしている人が多かっただけに大成功と言っていい。少なくとも平日でもGⅠのボーダーラインと言える100億円は上回った。
さらに29日に大井競馬場で行われた東京大賞典は42億7307万1200円で一昨年と比べて14.5%増。地方競馬の1レースの売り上げレコードを記録した。大井競馬場の29日の売り上げ70億4365万7260円も地方競馬の開催日のレコードとなった。
「祭り」があれば競馬ファンは楽しむ
全く問題ないどころかこちらの想像をはるかに上回る結果だった。有馬記念の売り上げ微減はホープフルSと東京大賞典を控えて確かにムード的に少し買い方をセーブした人はいたのかもしれないが、残った2つのGⅠの売り上げを見れば全体的には大きな問題ではなかったという結果が如実に現れた。
我々が有馬記念を締めくくりにした方がいいと考えていたのはもはや情緒的すぎるということだろうか。中央競馬の一年の終わりは有馬記念で締めくくらなければならないというのは、日本人なら大みそかは茶の間でこたつに入って紅白歌合戦を見るべきというようなものなのかもしれない。時代は変わったということか。
目の前にGⅠという「祭り」があれば、そこに面白い競馬があれば楽しむ。競馬ファンの懐の深さを感じた。
筆者は28日に中山競馬場、29日に大井競馬場で取材していた。好天に恵まれたこともあったが平日とは思えないにぎわいがあった。東京大賞典当日は日本競馬最多のGⅠ通算11勝を挙げたコパノリッキーが引退の花道を飾った。大勢のファンが残っていた。心から競馬を楽しむ大勢のファンの姿を目の当たりにした。
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