有馬記念「キタサンまつり」後も祭りがあった

年末の風物詩はこれから変わるのか?

なぜ新設GⅠが有馬記念後に行われることになったのか。その流れを簡単に述べたい。

もともと12月28日から1月4日までは中央競馬は開催しないというのが慣例だった。これは1991年に農水省と旧自治省が局長通達という形で出した。祝日の開催も年2日に限定されていた。これは地方競馬との「すみ分け」のためだった。12月29日に固定されていた大井の東京大賞典を含めて年末年始は地方の収益確保の場と規定したからだ。

しかし、1998年から始まった中央競馬の売り上げ減で状況が一変。JRAは年末年始と祝日開催へかじを切った。2003年には有馬記念を28日に開催。その後、規制緩和の観点から2006年11月の農水省生産局長通達で地方側と十分な調整ができた場合、祝日使用は年4日以内まで可能となった。

2008年、2014年は有馬記念を28日に開催した。祝日を含めた3日連続開催も年4回定着した。これは2010年以降、IPAT(インターネット上で馬券の購入などができるJRAのサービス)の地方発売を含めて中央・地方のネット投票による相互発売が大幅に拡大し、ようやく中央と地方の「ウイン・ウイン」の関係が成熟してきたからだった。とはいえ1991年の通達は生きていたのだ。

そして、2015年の競馬法改正に決定的な文言が含まれた。この時は海外競馬の国内発売がクローズアップされたが、競馬法施行規則2条2項(1)で定める競馬を開催できる日取りは「日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日、1月5日から同月7日まで」に加えて「または12月28日のいずれかの日取り」とされた。つまり、12月28日は平日だったとしても中央競馬を開催できる日と規定されたのだ。

ホープフルSがGⅠ昇格し28日開催に

JRAはあくまで12月28日が日曜になった時だけ有馬記念を問題なく開催したいということを望んでいただけだった。恒久的に12月28日に競馬を開催したいという意思を持っていたのは中山馬主協会だ。「競馬の日」として12月28日に有馬記念を固定するという構想を提示した。だが、「仕事納め」の平日になるケースがある12月28日に有馬記念を固定して開催するというのは一般的に考えて無理があるのは当然だ。

朝日杯フューチュリティステークス(FS)が2014年から中山競馬場から阪神競馬場に移り、中山で開催するGⅠは1レース減っていた。JRAは協会の顔を立てる意味でもホープフルSをGⅠに昇格させて12月28日に開催することを決めた。いわば折衷案であり、これが事のいきさつである。

有馬記念前に取材した限り、厩舎関係者、ジョッキー、ファンがこの12月28日の開催を歓迎するという声はほとんど聞かれなかった。何より、有馬記念を年末最後の風物詩として定着させてきたのはJRAの努力だった。だからこそ有馬記念は国民的レースとなったのだ。あのキタサンブラックの劇的なラストランで終わっていればという声すら聞かれた。

中央と地方にとって「ウイン・ウイン」でない28日と29日の連戦の日程は痛み分けの可能性すらあった。JRA職員でも疑問視していた人は多かった。JRA内部から「平日に開催していいという法律のお墨付きを得た。今後へ向けての新しい展望になるかもしれない」という声が聞かれたが、それはあくまで将来的なことである。

劇的な「キタサンまつり」の後で蛇足のような「祭り」をはさんで、最後に地方競馬の「祭り」までにぎわうのか。

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