内職経験からいきなり起業しなかったのは正解だったと思います。たとえば飲食業を例に取りますと料理の腕はいいのに原価計算を無視した価格設定やどんぶり勘定で、客は入っているのに赤字という店が、たくさんあります。その両方はよいのに接客がまずい店も続きません。
職種にもよりますが、不特定多数の人を相手にする職に一度就いてみるのは、よっぽど情熱と適性がある天職に巡り合ったのでもないかぎりは、必要な修業だと思います。
仕事をしながら、関心のある分野での資格取得の勉強をする方もたくさん見てきました。聡子さんは貯えをお持ちとのことですので、就職と同時か、その前に始めるいい機会だと思います。就職に必ず有利とは限らない資格もありますが、いつどこで役立つかもわかりませんし、自信にもなります。もちろん、興味も適正もない資格のための資格勉強は、まったく意味がありませんが。
希望は自身で育て上げ、成長させていくもの
希望は自分自身で育て成長させるもの――「しあわせは歩いてこない、だから歩いてゆくんだね」と水前寺清子さんに歌われてもピンとこない人でも、「希望はやってこない、自身で育て上げ、成長させていくものだ」と、2年前に夫を予期せず突然亡くしたフェイスブックのシェリル・サンドバーグCOOの、自身の経験に基づいた言葉だとしたら、心動かされる人は多いと思います。
詳しくは2017年、バージニア工科大学での卒業式のスピーチをご覧いただければ、と思いますが、人生の困難時にこそ希望を持つことと、「立ち直り」には周囲の人と絆を作ることの大切さを、感動的に語っておられます。
「失敗も含めて、人生に無駄なことはない」と私が申し上げても、そんなこと100回以上聞いたと言われそうです。ところがこれがあのスティーブ・ジョブズ氏でしたらどうでしょう。「将来をあらかじめ見据えることなどできない。今やっていることが、人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない」は、「ハングリーであれ、愚か者であれ」(2005年スタンフォード大学卒業式)の名セリフで有名な伝説的スピーチの中にあります。これらのスピーチ原稿などもネットでご覧になられますと、今のあなたの心に響く言葉で満ちているかと思います。
最近、私はネパール人のライ・シャラドさんの生き方に感銘を受けました。本来なら満足な教育を受けられないネパールの田舎で育った彼は、国費で「最高の」大学教育を受け、日本に留学まで果たします。国に恩を返す方法として、彼は日本で働きながら故郷に学校を建てます。2012年、竹とトタン屋根の学校から始めて現在では、153名の生徒が通う学校になりました。彼の夢は地域から国のリーダーを目指し、地域を発展させ豊かにすることです。
彼の夢を応援する大勢の日本人も登場します。この話も希望と絆がキーワードで、希望は自分で描き、育てる話です。
遠い海外の立派なリーダーの話だと思われるかもしれませんが、この“周囲の人との絆を大切に、希望は自分で育て、成長させる”ことの大切さは、誰にでも当てはまる大切な教訓だと思います。
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