理由は、NISAに最も向いた運用は、手数料の安いETF(上場型投資信託)によるインデックス・ファンド投資だが、銀行では、これができないからだ。銀行を中心に、NISA口座の開設申し込みで「2,000円」くらいくれる金融機関が多いようだが、ETFよりも高い販売手数料や信託報酬などで、その何倍も「損をする」(自動的におカネを払う)ことになる可能性がある。今回、こうしたオマケに釣られた人は、騙されやすい人なので、今後も気をつけるべきだ。
撤回が間に合わなかった人、あるいは「銀行でもいいや」と腹を括った人(どうして割り切れるのかは不明だが)は、可能な範囲の中で、よりましな商品に投資することで、「損」を小さく納めることを考えるべきだ。金融機関が、NISA向けにどのような商品・サービスを用意しているかによって、善後策の内容は異なる。
メガバンクに口座を開いてしまった場合は、対面販売ではない、ネット取引専用の投資信託の中からノーロード(販売手数料ゼロ)のインデックス・ファンドを見つけることができれば、「損」は割合小さく抑えることができそうだ。この場合、百万円の運用に対して年間数千円くらいの「損」になる計算だが、現行制度では、いったんNISA口座を開くと、2年目、3年目も金融機関を変えることが出来ないので、相対的な損は、投資金額と共に膨らんでいくことになる。
巷の新聞や雑誌のNISA特集記事、それに既に何冊か出ているNISA解説本を見ると、「投資家にとって適切な商品」を紹介するのではなく、「金融機関が儲けられる商品」にNISA資金を誘導できるようにという意図が働いているようだ。年代別・投資経験別など、しきりに運用内容にバラエティを持たせようとする記述が目立つ。
たまたま手元にあるムック本を見ると、何れもファイナンシャル・プランナー(FP)を名乗る人だが、一人は「値動きのあるものか、分配金の高いものを」といって、REITに投資する投資信託や外国債券に投資する毎月分配型ファンドを推奨しているし、もう一人は「毎月分配型投信で確実に利ザヤを取る」というタイトルの下に毎月分配型の投資信託を勧めている。彼らの勧めている商品(合計7本)は、何れも2%台ないしは3%台の申込手数料を取る投資信託で、継続的に掛かる費用である信託報酬も1%を切るものは一本もない。
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