「MERY」が過去の栄華を取り戻すための課題

何が変わって何が変わっていないのか?

現在の「MERY」のスマホの画面イメージ(写真:MERY)

これがDeNAだけの問題ではないことは、日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が2017年8月(アドフラウドに関するもの)と12月(ブランドセーフティに関するもの)に出したステートメントを見ても明らかだ。

インターネット広告が、広告主の意思とは関係なく適切ではない場所で掲示されることで広告費を払ってブランド価値を下げるという本末転倒な事態を引き起こしたり、アドフラウド(広告詐欺)のように広告掲示の数字に関して”騙し”をしようとしたりする流れもあるが、そうしたゆがみが大きく噴出したのがWELQ問題だった。

MERYの問題は「掲載画像の無断流用」

その中で、実は上記のようなインターネット広告に関する好ましくない流れ(=過度なSEO対策)とは別の方向性を作り出せている媒体があった。それが若い女性の感性にあったコンテンツを生み出していたMERYである。

WELQの問題の本質は、SEOテクニックに偏った記事テーマ設定と内容の作り方、それに論旨をまるごと他サイトから引用してリライトしたり、複数の記事をひとつにまとめるだけでオリジナル記事としてしまうなどの”パクリ”だ。記事の質ではなく検索流入を最重要視し、内容の質に対するチェックも甘いことが問題だった。一方で、ファッション、ビューティ系の話題が主体のMERYは自身が読者層でもある若い女性たちがインターンとして、自由に自分のセンスを活かしたテーマ設定、記事内容とすることで同じ感覚を共有する女性たちを吸引していた。

MERYの記事に検索流入を目的としてSEOテクニックが施された記事がゼロだったわけではないが、その比率は低く、むしろ読者目線を活かしたボトムアップのコンテンツ製作体制がブームを作り出したと言える。

しかしながら、2016年秋以降、MERYには多くの画像無断流用が発覚。DeNAは、2017年8月に小学館との合弁によって「株式会社MERY」を設立。小学館が過半数の株式を引き受けることで、小学館および旧ペロリの主要メンバーが経営の核となる新生MERYが始動した。コンテンツ製作の鍵となる制作部門には、ペロリ時代のMERYで読者から慕われていた者も少なからず残っているという。

経緯の解説が長くなったが、ここから本題に移ろう。記事配信の再開を受け、MERY社長で小学館の副社長を兼任する山岸博氏、ペロリ創業者・中川綾太郎氏辞任後に社長を引き受け、現在は副社長を務めている江端浩人氏を取材し、何が変わり、何が変わっていないのかを明らかにしていきたい。

まず新生MERYと旧MERYの体制の違い。大きく分けると2つある。

ひとつは主に記事中で使用する画像などの著作権を確認し、権利者に使用許可をもらうようにしたこと。もうひとつは編集部の機能をMERY社内に置き、記事の校閲を行うことだ。こうした品質管理は、いずれも旧体制時には一切行われていなかった。新体制では編集部側からライターに何らかの指示をするわけではないが、記事内容の品質について事後チェックを行う機能を持たせたのである。

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