そこで救ってくれたのは、手元にあった残り1枚のカードだった。それは日本のショッピングではあまり使うことのない、ICチップが入っている銀行系のクレジットカードだった。お土産をネットで買う直前、最後にこのカードでトライさせてくれと言って暗証番号を入れたら、無事に決済ができたのだ。店員もホッとしたようで、安堵の表情を浮かべていた。
帰国時の空港でも驚くことがあった。北欧諸国は嗜好品の税金が高いが、観光客のために帰国時に税金が戻ってくる「タックス・フリー」のシステムがある。今回の滞在では買い物をする時間がなかったので、タックス・フリーのお店で最小限のお土産を買っただけだった。
空港内の税関に出向き、買った商品を見せ、税金の払い戻しの手続きをするためにクレジットカードの番号を書いて提出した。すると係員はそれを見て「別のクレジットカードはないか?」と尋ねてきた。提出したのはアメリカン・エキスプレスのカード。使えないはずはないと思ったが、言われるがまま、改めてVISAカードを提出した。すると笑顔で「サンキュー」と言い、そのあとはスムーズに手続きは進んでいった。
手続きが終わったあと、どこか腑に落ちなかったので、理由を訊いてみた。
「アメリカン・エキスプレスの場合、これくらいの安い購入金額だと手数料が高く取られるんだ。だから次回はもっとたくさんおカネを使ってくれよ!」
係員は笑顔でそう答えた。ビジネスがうまい国、スウェーデンの正体を見た気がした。
日本は今後どうなるか
日本では具体的にキャッシュレス社会に向けての施策はあるのだろうか。2016年11月、インド政府は突然500ルピーと1000ルピー紙幣を廃止すると発表し、その数時間後には使えなくなるような措置を取った。また、欧州中央銀行は2018年中に高額の500ユーロ紙幣の発行を取りやめることにしており、どちらも背景にはテロやブラックマネー、犯罪防止のためという目的がある。
日本政府は「日本再興戦略改訂2014」 において、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催等を踏まえ、キャッシュレス決済の普及を掲げている。しかし、日本は諸外国と比べても治安が良いということもあり、日本人があまり必要性を感じていないのが現実だ。キャッシュレス社会になるのは、まだまだ遠い先の話のように思える。
果たして日本は「キャッシュレス社会」を実現して「ビジネスがうまい国」という称号をもらうことができるのだろうか。
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