内定の合否を分けるのは「ちょっとした差」だ 26歳、半年転職が決まらなかった男の転換点

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芦田さんは日東駒専レベルの大学で機械工学を学び、卒業後すぐに中堅規模の電気設備メーカーに就職した。工場などの電気や環境設備の施工管理業務を行う会社で、施工管理の担当者として、さまざまな現場を昼夜問わず駆けまわっていた。

「施工管理という業務の特性上、土日関係なく、お客さんの都合で突発的に仕事が入ることが多かった。休みの日でも急に仕事が入るので、自分の車には仕事道具や着替えを常に入れてありました。気が休まる暇もなく、正直めちゃくちゃしんどかったです」と、いまとなっては思い出話のように語る芦田さんだが、当時は考える暇もないくらい、ハードな日々を過ごしていたと思われる。

休日出勤すれば、その後、代休や振り替え休日を取得するのが通常だが、前職では、代休を取るような雰囲気ではなかったという。「代休なんてほとんど取ったことがありませんでした。ほかの社員も代休を取らないので、『仕事というのはこういうもの』と信じ込んでいました」と、芦田さん。運良く、たまに休みが取れても、疲れて部屋で寝てばかりの生活を送っていたと、当時を振り返っていた。

芦田さんが入社した会社は、入社2カ月目にはもう、複数の現場を1人で任されるような職場だった。

扱っているモノが工場で使用されている設備ということもあり、修理やメンテナンスは、基本的に工場が稼働していない休日や早朝、終業後といった時間帯になる。だから、顧客からの電話が鳴れば、現場の担当者として早朝深夜問わず、すぐに1人で現場に向かわざるを得なかった。

大学の同級生は合コンで楽しんでいるのに

芦田さんはそれでも頑張って仕事をこなし、そうした環境にも慣れ始めていたが、転機が訪れる。

「大学の同級生たちと久しぶりに会う機会があって、自分の会社がかなりブラックな労働環境だということをそのときに知りました。みんなの仕事も大変そうなのですが、休日はちゃんとあり、平日の夜に合コンをしたり、土日に旅行に行ったり、自由に時間を使えていて、とても羨ましく思いました。そんな当たり前のことができていなかったんです。このまま今の仕事を続けていても、仕事ばかりでプライベートが全くないまま歳を取ってしまうと思い、退職を決意しました」。入社から1年7カ月経ったときの話だ。

実際、年間休日を計算してみると、会社の規定では年間120日ほど確保されているはずだったが、芦田さんが取得した年間の休日日数は60日しか取れていなかった。

転職活動では、大学時代に学んでいた機械工学の知識と、前職の計装の仕事の経験を活かして、前職よりも一般的にレベルが高いと言われる、機械製品の設計業務を志望していた。

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