遠藤保仁が「体力B判定」でも活躍できたワケ サッカー界の天才は日々何を考えているのか
このような日常生活での小さな予測を、意識して何度も繰り返していくと、精度も高くなり、判断スピードも上がっていきます。それは「先を読む力」がアップしているといっていいと思います。
「頭が疲れる選手になりなさい」という教えの真意
サッカーの試合中は、目まぐるしく状況が変化していきます。そうした状況を瞬間的に、的確に捉えながら、予測と判断を繰り返し、それをプレーとして表現する。その繰り返しです。
そのため試合中は、体を動かしながら、いつも頭はフル回転の状態。中学時代の監督から、「体が疲れるのは当たり前。頭が疲れる選手になりなさい」とよく言われました。状況を観察して、頭で考えて予測し、一瞬で判断し、プレーをしなさいということ。その教えは、プロとなった今も大切にしています。
「遠藤はいつもゆっくりプレーしている」とよく言われます。試合を見ている人は、僕の動きがゆっくりしているように見えるから、運動量も少ないと思い込んでいるようですが、実は南アフリカ・ワールドカップにおけるFIFA(国際サッカー連盟)の公式データによると、僕がチームでいちばん長い距離を走っていたんです。
僕のプレースタイルがゆっくりしていて、運動量が少ないように見えるのは、ダッシュをする回数が少ないからだと、自己分析しています。
もちろん、ダッシュが少ないのは、あえて、しないようにしているからです。ダッシュをするとその分ボールのコントロールが難しくなるのがサッカーです。
そのため、ダッシュをしないようにするにはどうすればいいかを考えると、先読みが必要になるわけです。たとえば、5メートル先の地点に移動するとき、周囲の状況から先読みをして、早めに足を踏み出せば、ダッシュをせずに到達できます。
サッカーでは、先読みが正確にできるほど、有利な立場を得ることができるのです。次のプレーを予測して、相手より1秒先に動き出せれば、その分パスを通したり、ボールを奪えたりする可能性は高まります。コンマ何秒でも先にアクションできれば、大きなアドバンテージになります。
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