フットサル「Fリーグ」の何とも厳しい現実 人気スポーツだが集客は危機的状況だ

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1つ目は、強烈なリーダーの存在だ。もともとプロ化を好まないNBLとセミプロのbリーグの2団体が並立していた日本のバスケットボール界が、2016年のBリーグ開幕を迎え1つのリーグにまとめあげられたのは記憶に新しい。そこには、バスケットボール界をあるべき姿にしようという、初代チェアマンの川淵三郎氏や現チェアマンの大河正明氏の強烈なリーダーシップがあったはずだ。

2つ目はBリーグにおけるソフトバンクのような大きな資本の投下だ。レジャー白書2017によれば参加人口(1年に1回以上プレーする)は400万人以上いるとされるバスケ。停滞していた日本のバスケットボール界を変えたのは、ソフトバンク孫正義氏の功績によるところが大きいと言えるだろう。年間30億円程度、4年間合計で120億円に及ぶスポンサー契約を2016年に結んだとみられている。

このように、スポーツに対して企業が大きな資本を投下し始めたことは、効率化が進む世の中において、観戦体験のためのスポーツコンテンツが大きな価値を持つことが少しずつ世の中に認められていることの証だろう。

3つ目は、リーグ主導による共通プラットフォームの構築だ。観客が会場にきて試合を観戦するには、一人ひとりを顧客として認識し、チケットを簡単に買える体制を作らなければならない。JリーグやBリーグは、トップの強烈なリーダーシップと、パートナーによる大きな資本力を活かしながら、マーケティング活動を行い、質の高い観戦体験を提供している。

顧客管理やチケット販売を行うために、リーグ側が自ら用意した共通プラットフォームを、各クラブに提供することは、クラブ間の資本力による格差を埋め、均一的に質の高いサービスを提供する上では、非常に有効な手段である。また、共通プラットフォームに貯まったビックデータを、すべてのチームが共有しながらマーケティング活動を行うことができるというメリットもある。

4つ目は、非日常的なエンターテインメント空間の創造だ。Bリーグは、試合開始前やハーフタイムなどLEDコートに音や光による派手な演出がウリだ。日常では体験できない、コンサートに参加していると錯覚してしまうかのような、スポーツエンターテインメント空間の創出に成功した。これは野外スポーツでは実現困難なことであり、室内で楽しむアリーナスポーツの新たな可能性を感じさせるものであった。

チームスタッフや選手の危機感こそが光明

このようにみていくと、フットサルには、リーグとして手付かずの領域がまだまだ、たくさんある。そこを改善すれば、大きな転機が訪れるのではないだろうか。 

Fリーグの選手やチームスタッフの危機感は高まるばかりだ(筆者撮影)(提供:KING GEAR編集部)

今のままでは、冒頭であった稲田が言うように、リーグ自体が消滅してしまう日が訪れてしまうかもしれない。それでもフットサル界には、まだやり尽くされていないことも多く、競技としてのポテンシャルも決して低くない。きっかけさえつかめれば、大きく変わっていく可能性は十分に、ある。 

(文中一部敬称略)

瀬川 泰祐 ライター

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せがわ たいすけ / Taisuke Segawa

1973年生まれ。北海道出身。エンタメ業界やWeb業界での経験を活かし2016年よりフットサルを中心にスポーツ分野のライティング活動を始めている。モットーは、「スポーツで繋がる縁を大切に」。

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