「離婚家庭の子」はみな辛くて可哀想なのか 「ふつうの家族」だったら幸せですか?

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親に何かしてあげられることはないか――。子どもがそんなふうに考えているなんて、離婚の渦中にある親たちは、まず気づくことは難しそうです。晴子さんは当時、漠然とした不満や、不安感もあったといいます。

「子どもだから、父親が自分以外の人と仲良くしているというのは、なんというのかな、イラッとするわけですよ(笑)。

小さいときから父にかわいがってもらってきて、父は私のことを大好き、と思っていたのが、急に『自分の知らない父親がいる』みたいな感じ。今までみたいに私と仲良くしてくれないんじゃないか、というのも不安でした。

『ちゃんと説明を受けていない』、ということへの不満もありましたね。何が本当のことかもわからないし、いったいどうなっているんだろう、これからどうなっちゃうんだろう、という不安も感じていました」

一緒に暮らしているのに、離婚の際は大人のなかだけで物事が決められてしまい、子どもには発言権が与えられないどころか、説明すらちゃんとしてもらえない。子どもはそこにもストレスを感じます。

結局、父と暮らすことに

離婚の際、どっちの親と一緒に暮らすか聞かれてつらかった、という声をよく聞きますが、晴子さんもそれは同様でした。どちらを選んでも、他方を傷つけてしまいかねないからです。

「このときは結局、父親と暮らすことにしました。うちは母のほうが、あまり子どもに執着するタイプじゃなかったし、私はどちらかというと父親のほうと仲が良かったので。

父は今80歳で、あの年代としてはすごく珍しいと思うのですが、家事万能だったんです。料理もアイロンかけも、なんでもできる。だから、私の友達がうちに来たときも、父が洗濯物をたたみながら『ちゃんと宿題やんなさいよ!』とか説教してくるので、みんなに大ウケでした(笑)。

今はすっかりおじいちゃんですが、背も高くて、昔はジョン・ローンみたいなイケメンでね。小さいときから、よくいろんなところに遊びに連れていってもらったし、本当にお父さんのことが大好きだった。だからなおさら、父親にパートナーができたことに、イラッとしたわけです」

晴子さんの父親の浮気には、もう1つ特徴がありました。交際相手が男性、つまり父親と同性だったことです。

(次回は1月4日に公開予定です)

大塚 玲子 ノンフィクションライター

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おおつか れいこ / Reiko Otsuka

主なテーマは「いろんな形の家族」と「PTA(学校と保護者)」。著書は当連載「おとなたちには、わからない。」を元にまとめた『ルポ 定形外家族』(SB新書)のほか、『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(同)など。テレビ、ラジオ出演、講演多数。HP

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