「ラーメン凪」を率いる男の挫折とこだわり 何もないところから風を吹かせる

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――「ラーメン凪」は、少しずつ進化していった。

生田氏:何でもそうだと思いますが、最初から完成したものはありません。「ラーメン凪」のこだわりも、まわりの状況判断と工夫の中で、徐々にでき上がっていきました。ご存知の方もおられるかと思いますが、はじめ「ラーメン凪」のスープは、とんこつでした。とんこつはすでに極めているお店もあるし、差別化しなければ数あるうちのひとつで埋もれてします。「ここのラーメンが食べたい」と思ってもらえるものでなければダメだと。「こだわり」は、そんな周りの状況へ対応することでも生まれました。

そうして試行錯誤の結果、変えるべきところは変えながら進んできた結果の一つひとつが、間借り経営から、実店舗、さらに海外出店と今の「ラーメン凪」に繋がっていったんです。

凪スピリッツの終わりなき挑戦

――たくさんの「嵐」を起こしてきました。

未来の地図は大きく描いてもいい

生田氏:おかげさまで、ラーメンはもちろん、私たちの行動自体が多くのメディアに取り上げられ、結果、またたくさんのお客さまに「私たちの一杯」を届けられることができる。こうした循環ができたことに喜びを感じていますが、満足はしていません。

刻一刻と変化する時代に、私たち飲食店も日々探求と進歩がなければ取り残されてしまいます。普遍的な価値観で物事を見つつ、時代の変化に対応できる「チカラ」が必要。ある意味、じっとしていられない自分にはいい時代だと思います。

――「凪」……次の嵐の前の静けさ。

生田氏:まだまだ終わりじゃないんです。私としてはようやく始まったばかり。実は今、新たにアメリカの某所で開店する準備をしています。数年かけてやってきたのですが、ここ数年のアジア圏での出店と、場所もコンセプトも大きく異なります。この出店も、何度も修正しながら進めてきました。時には、自分の出した指示でさえ、間違っていた場合には謝りながら(笑)、躊躇なく変えていく。最初に考えていたものよりも、周りの状況の方が正しい時は素直に認める。最初と大きく違っていたっていいと思います。

未来の地図は大きく描いてもいい。それに見合う行動、必要な工夫を積み重ねていくしかないと思うんです。これからもそうして工夫と行動を重ねながら、やるべきことを日々問い続け、「人とお店」が成長し、さらにはお客さまへ熱き「凪スピリッツ」を届けられる、そんな“面白いラーメン屋”を目指し続けていきます。

(インタビュー・文/沖中幸太郎)

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アルファポリスビジネス編集部

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