一風堂のラーメン「飽きられない」本当の理由 世界で勝負する名店は変化を恐れない
いま、世界で最も注目を集めている日本食は「ラーメン」と言っても過言でない。JETRO(日本貿易振興機構)の調査によると、海外進出している日本のラーメン店は166社(2014年10月17日現在)。フランス、ドイツ、アメリカなど欧米諸国でブームだ。
日本国内でもラーメン人気はとどまることを知らず、1年で新しくオープンする店舗はなんと約3600店。しかし、反対に1年で潰れるラーメン店も約3600店とほぼ同数だという。
それほどまでに競争が激しい業界で、第一線を走り続けるブランドがある。それが「一風堂」だ。
創業30年、フードコート業態などを含め全国に93店舗を展開するラーメンの「一風堂」は、まろやかで深みのあるスープが大人気で、1店舗あたりの売り上げが業界トップクラス。今や全国で1日に5万人も来店する大人気チェーンに成長を遂げた。日本だけにとどまらず、12カ国・地域に55店舗を展開している。
この秘訣とはいったい何だろうか? そこにはビジネスの成功をつかむヒントが眠っているはずだ。
11月21日(土)よる7時からTBS系列で放送する「ジョブチューン 大人気飲食チェーン店SP!」に出演する島津智明さん(35)は、「一風堂」を運営する、力の源(チカラノモト)カンパニーの取締役で、日々現場に立ち全国のスタッフ指導と品質向上の責任者を務める。そんな島津さんに、一風堂の人気の秘密を聞いた。
30年変わり続けた味。ラーメンに完成はない
「ラーメン業界に一陣の風を巻き起こす」という志のもと、30年前に九州・博多の地で産声を上げた「一風堂」。当時は、カウンター10席のみの小さな店だった。モダンな内装とジャズが心地よく響く店内。ラーメン業界の常識を覆す画期的な店づくりが一風堂の特徴の一つ。それまでラーメンとは無縁だった女性の支持も集めた。
主力メニューは豚の臭みを除去したマイルドな味の豚骨ラーメン。そして、この味はこの30年間で実に20回以上も変えているというから驚きだ。一風堂の根底にある理念「変わらないために変わり続ける」に基づいているという。
固定のファンがついた人気ラーメンの味を変えてしまうのは、一見リスクのある行動に思える。もちろん、変化後のラーメンの味がお客に気に入られなければお店のファン達は一気に離れていってしまうだろう。実は、ここにこそ「一風堂」がラーメン業界でトップクラスの人気を誇る理由がある。