「いきなり!ステーキ」に死角はないのか 「俺の」が着席に転向した意味を考える
「ペッパーランチ」「炭火ステーキくに」などで知られるペッパーフードサービスが展開する立ち食いステーキ専門の新業態「いきなり!ステーキ」が快進撃を続けている。9月10日の立川南口店(東京都立川市)オープンにより、2013年12月に銀座で1号店を出して2年も経たないうちに60店へ到達。ここ半年ではほぼ倍増で、1995年設立のペッパーフードが20年かけてつくってきた全国約400店ネットワークの15%程度を占めるほどに急成長した。
本格ステーキを思いっきり食べる!
ペッパーフードは、2013年12月期までの数年間にわたり50億円台で停滞してきた売上高を2014年12月期に87億円まで拡大させ、2015年12月期は150億円台を狙っている。まさに「いきなり!ステーキ」効果だ。
「いきなり!ステーキ」は、本格ステーキを立ち食い形式で量り売りするというコンセプトが特長だ。お客の好みに応じて肉の種類や量、焼き加減(レア、ミディアムなど)などが選べ、シェフがその場で肉をカットして焼いてくれる。
肉の原価率は70~80%、サラダやライス、飲み物などを加えた全体で同60%前後。外食業界の平均的な水準である30%程度の約2倍とギリギリまで上げてお得感を出す一方、お店の規模を小さくカウンターで立ったまま食べられるようにして収容人数と回転率を高め、収益を確保している。サイドメニューを絞り込みスタッフの作業効率を上げているのも店舗運営の利点といえるだろう。
筆者は9月中旬の昼時、渋谷公園通りの「いきなり!ステーキ」を訪れてみた。12時半の時点で店外には6〜7人の行列。渋谷という土地柄、若い人が多いのは予想していたが、女性の割合が思った以上に多かった。女子大生のグループが店内にも2〜3組いた。
オーダーしたのはランチ限定メニューのワイルドステーキ300g(1296円)。300gのステーキにサラダとスープ、ライスが付くというメニューだ。
ファミリーレストランで提供されるステーキは200g前後が主流。300gというボリュームは相当なインパクトで、大人の男性でも十分お腹いっぱいになるほどだった。そして何より、ビジネスモデルの狙いどおりにお客がどんどん回転する。筆者の目の前にいた3人組の女子大生のグループも、おしゃべりをしながら食べ終えると、次はスイーツの店に行こうと盛り上がり、お店を出て行った。
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