「ラーメン凪」を率いる男の挫折とこだわり

何もないところから風を吹かせる

――「頑張ること」と、よい結果はイコールではない。

焦るばかりで「自分」の状況が見えていなかった

生田氏:もちろんよい結果を出すには頑張らなければいけませんが、頑張ったからといって、よい結果が保障される訳ではない。「こんなに頑張ったのに」という言葉がありますが、その頑張りが間違っていないかを冷静に振り返ることは、よい結果を出すためには欠かせません。

そもそもアルバイトから店長になったのと、急に外部から来た店長では、スタッフとの信頼の度合いが異なります。焦るばかりで「自分」の状況が見えていなかった自分は、体を壊してようやく冷静に「状況」を観られるようになりました。今までの自分のやり方に一つひとつ疑問符をつけ、まずは信頼関係を築くために、スタッフに対して、命令ではなく質問や問いかけをするようになっていきました。

「自分が変わる」ことで、少しずつ周りの空気も変わっていく。光が見えたのは、そこからでした。いくつかある店舗の中でも最低と言われていた店舗が、1年かけて北九州の時のように繁盛店になっていったんです。今となっては当たり前すぎることかもしれませんが、いくら自分の正しさを振りかざしたところで、相手を無視したものであれば伝わらない。働く「人」の幸せにつながらなければ、お店だってうまくいくはずがないんです。この時代は、そうした「当たり前」のことを肌身で覚える時期でしたね。

未来の地図は“動くこと”で描かれていく

生田氏:その頃、会社の成長と自分の成長は幸運にも同じ方向を向いていました。福岡での改革の成功のあとも、さまざまな現場で失敗と学びを重ねていましたが、その中で、東京進出の話が持ち上がり、自分は新規出店を担うエリアマネージャーとして、東京に赴任することになったのです。

「福岡より物理的パイの大きい東京なら、もっと多くのことに挑戦できるのではないか」。常々そう考えていた自分には、東京進出は願ってもないチャンスでした。実は社内で、そうした話が浮上してすぐの頃から、自分はことあるごとに社長や上司に「東京に行くなら自分に任せてください!」と頼み込んでいました。いつか東京進出が現実味を帯びた時に、すぐに自分の名前を思い出してもらえるよう、彼らの視界に積極的に飛び込むようにしていたんです。

――“動くこと”によってのみ、未来は変わる。

生田氏:目に留まる行動、意識下に自分が出てくるようにする。そうして「東京といえば、あっそういえば生田がいたな」と(笑)。やりたいことを成し遂げる時、さまざまな方法があると思いますが、自分の場合は、実績とともに存在感を示すことが大切だと思ったんです。

もちろん、新しいチャレンジでしたので、結果が保障されたものではありませんでした。失敗すればクビになるかもしれない。けれども、未来は動いてやってみるまでわからないものだと思うんです。確固たる自信はなくても、自分が描いた「白地図」に、実績が伴うように「色」を付け足していく。そうやって少しずつ前へ進んでいくしかないと思うんです。

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