「就活に成績は関係ない」はすでに時代遅れだ 年々広がる「履修履歴面接」という新常識
ではなぜ、「履修履歴」の活用は、これほど広がっているのでしょうか。
なぜ企業は「履修履歴」を使うようになったのか
履修履歴の活用が広がっている背景はいくつかありますが、1つにはひと昔前に比べて、大学生活が大きく変化していることがあります。
今年就活をした学生への調査では、「授業にはどの程度、出席していますか?」という質問に対して「8割以上出席している」との回答が73%でした。
これをある企業の人事担当に伝えたところ「最近の学生はまじめだね」と笑っていましたが、事実は違います。もっとも大きな理由は、出席点の導入によって出席しないと単位が取りにくくなったからです。
つまりまじめになったのではなく、昔は授業に出なくても単位を取ることができた環境が、今は授業に出席しないと単位が取りにくくなった。要するに環境が変わったのです。
現在では多くの学生が授業に時間を割いています。そのため、授業の選択の仕方にも学生の個性が表れます。どの授業に興味を持ち、どの授業に力を入れ、どの授業は出席しないという判断には、個人の価値観が反映されるのです。
2つめの理由は、多様な視点で学生を見極められるからです。
面接において成績表(履修履歴)を活用するというと、面接官が成績表を眺めて「成績がいいね(悪いね)」「相当単位が残ってるけど大丈夫?」というように、成績や単位数を見るというのが一般的なイメージでした。この誤解が履修履歴の活用を阻害し、エントリーシートを中心にする面接が広がりました。
エントリーシート中心の面接の問題点は、エピソードがない特徴は語られず、評価もされないことにあります。学生は、エピソードがないと「自分の良さが伝えられない」と考え、エピソードを探します。面接官も「エピソードを聞き出さないと」と思いこんでいますので、エピソードを語れない学生は評価しません。
しかし、その人の特徴や「良いところ」にはかならずエピソードがあると考えるのは、ずいぶん乱暴な話ではないでしょうか。実際、「履修履歴」を見ながら以下のような質問をする場面を考えてみましょう。
「力を入れた授業はどれですか? なぜ力入れたのかを教えてください」
この質問に対して、ある学生は「自分が不得意なので真剣にならざるをえなかった授業」を挙げるかもしれません。あるいは「好きだから力を入れた授業」を選ぶ応募者もいるでしょう。または「自分が頑張らないと他人に迷惑をかける授業」を挙げる人もいるはずです。
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