「就活に成績は関係ない」はすでに時代遅れだ 年々広がる「履修履歴面接」という新常識

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そのため、エピソード面接で語られる「課外活動」が同程度であっても、卒業が簡単な大学の学生と難しい大学の学生では、後者のほうがより「頑張った」といえます。課外活動における本人の意思・意欲、行動レベルも、「履修履歴」を活用することで、よりわかりやすくなるのです。

「履修履歴」活用は社会の要請だ

『「履修履歴」面接』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ここまで読んでいただければ、タイトルの「『就活に成績は関係ない』はすでに時代遅れだ」にも、ご納得いただけたことと思います。あえて正確に書くと、「成績」ではなく「学業での行動」ということになります。

このように企業が採用において履修履歴を積極的に活用すると、学生がより学業に力を入れるようになります。学生が学業に力を入れると、大学も教育レベルを高めやすくなります。履修履歴の活用は、社会の要請でもあるのです。

実際、2017年5月12日に文科省が出した「平成30年度就職問題懇談会申合せ及び就職・採用活動時期に係る政府要請について」には、以下のように記載されています。

少なくとも卒業・修了前年度までの学業成果を表す書類(例えば成績証明書や履修履歴等)を選考の早期の段階で取得し、採用面接等において積極的に活用することにより、学生の学業への取組状況を含めて適切に学生を評価することを求める。(太字は筆者)

今後も、履修履歴の活用は間違いなく広がっていきます。学生のみなさんは「就活に学業行動は関係する」ことを肝に銘じて、学業も学業外も双方の活動を頑張って楽しんでください。

辻 太一朗 大学成績センター代表

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つじ たいちろう / Taichiro Tsuji

1959年生まれ。京都大学工学部卒業。リクルートで全国採用責任者として活躍後、1999年アイジャスト創業。2006年リンクアンドモチベーションと資本統合、同社取締役に就任。2011年、NPO法人「大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会(略称DSS)」設立。2014年、大学成績センター設立。著書に『なぜ日本の大学生は、世界でいちばん勉強しないのか?』(東洋経済新報社)などがある。

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