日本をスルーするフィンテック企業の本音 「シンガポールから2~3年は遅れている」
フィンテックのアジアにおけるハブを目指すシンガポールは、こうした実証実験の誘致にも積極的で、規制面などで優遇する「レギュラトリー・サンドボックス」制度を整えている。ブースでシステムの説明をしていた担当者は、「シンガポールで実証実験を先んじて行うことで、将来的には日本でも導入できるような道筋ができれば」と話していた。
現金やカードなどを使わずに「顔」だけで
さらに、生体認証のトップランナーとも評されるNECでは、顔認証技術を活用したキャッシュレス決済システムを大々的に紹介するコーナーを設けていた。事前に撮影・登録した顔画像と、店舗や食堂などに設置したカメラで撮影する顔画像を照合することで、手軽に本人確認と決済を行う画期的なシステムで、各国の参加者が実際にその場で体験利用し、そのスムーズさに驚いていた。
実際に使わせてもらってみたが、顔認証に要する時間は非常に短く、購入する商品を選ぶとスピーディに決済が可能で、現金やカードなどを使わずに「顔」だけで商品を購入できるという利便性が今後、急速に浸透する可能性を大いに感じた。
実はすでに、東南アジアと世界を結ぶハブ空港として5年連続で「世界一の空港」の称号を得ているシンガポールのチャンギ国際空港でも、その出入国のシステムにNECの生体認証技術を用いている。旅行者はNECが提供したパスポートと指紋を読み取らせる個人認証のシステムにより、入国管理官がスタンプを押す長蛇の列に並ばず、すみやかに出入国することが可能なのだ。
筆者もたびたびチャンギ空港を利用するが、このシステムが導入されて以降、一度も長い列に並んだことはない。飛行機の座席を立ってから空港の外に出るまで、早ければ7~8分以内という神業も不可能ではない。シンガポールへの技術進出は、今後こうしたセキュリティやインフラのニーズが増していくほかのASEAN地域へのPRにもつながり、日本企業の存在感を示すことにもなる。
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