日本をスルーするフィンテック企業の本音 「シンガポールから2~3年は遅れている」
一方で、シンガポールではいまや金融がGDPの13%を占め、すでに最新のグローバル金融センターランキングでは、東京を抜いてロンドン、ニューヨーク、香港に次いで世界4位となっている(前回ランキングでは世界3位)。シンガポールは国土も狭く、資源も乏しい中、海外からの投資や技術を巧みに呼び込み、金融イノベーションを国家として急速に推進させてきた背景がある。
昨年は、政府と民間の投資会社が連携し、フィンテック・ハブとしての機能を持たせたオフィスビルを「世界最大規模のフィンテック拠点」と掲げ、大々的にオープンさせた。仮想通貨の取引に使われる技術「ブロックチェーン」や決済システムなどを手掛ける国内外の大手有力企業や団体が入居し、フィンテック関連の新興企業にエコシステムを提供することが目的だ。
フィンテック誘致を目指す“東京”への熱視線
そんななか、フィンテック・フェスティバル最終日の基調講演は、東京都知事の小池百合子氏だった。折しも「希望の党」の代表を辞任した翌15日にシンガポールへ向かった小池知事は、「国際金融都市」としての東京の魅力をトップセールスするため、まずはリー・シェンロン首相ら政府要人と会談したほか、米金融大手主催のイベントで講演するなどし、法人税率の引き下げをはじめ外国企業誘致に向けた構想をアピールした。
フィンテック・フェスティバルの閉会講演では、スタートアップ企業のブースが集まる展示会の活気をよそに講演会場は空席が目立ったものの、フィンテック関連企業の誘致に向けて東京の魅力を大々的にプレゼンした。
今後に期待する声も膨らみつつある。東京都は、海外からの誘致目標数なども具体的に掲げており、国と一体となり規制緩和などを進め、有望な企業をどのように見極めて活発な「国際金融都市」としての環境を整備できるかが注視されている。
シンガポールに拠点を構えたイスラエルのスタートアップ関係者は、「次は日本だ。すでに、ある企業とは水面下で交渉を始めている」と息巻いていた。規制や言語の面でハードルが高いのも事実だが、オリンピック開催などに向け、今後の日本を見る視線は熱を帯びてきてもいる。
小池知事の講演を熱心に聞いていた、インド人起業家の男性はこう言った。「日本は昔からあこがれの国ではありますよ。しかし、海外からのスタートアップが根差す地としては、越えなければならないハードルが、まだ多すぎるというとこかな。でも、魅力的な市場であることは間違いない。今後、日本の技術と私たちのアイデアが結びついて、爆発するようなことが起きたら面白いよね」。そう言って笑った。
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