学生は内定取得率を上げるため多数の企業に応募して就活するが、それによって多くの学生はかなり疲弊してしまう。一方では企業のストレスも大きい。採用学生数は限られているのに、その何倍もの大量な応募が来るからだ。とはいえ、応募学生には公平に接しなくてはならず、手間がかかる。求める人材像に合致する学生に内定を出しても、裏切られて他社に採られることもある。
このような新卒採用メカニズムのド真ん中に位置してきたのが就職ナビだ。日本型新卒採用への貢献は大きいものの、学生と企業の双方にとって、大きな負担になっていることも否めない。
逆求人型で学生が自分を”宣伝”する
もしかするとこういう日本独自の採用スタイルは変わるかもしれない。逆求人型の就職ナビでは、企業が自社を宣伝しない。宣伝するのは学生だ。自身のエントリーシートを、逆求人型の就職ナビに登録して、企業からのオファーを待つ仕組みだ。
逆求人型の就職ナビは、以前から存在していたが、就活の王道ではなかった。利用企業は、就職ナビでは採用母集団を形成できない中小企業が多く、登録学生数も少なかった。しかし、今回の調査では、2割近い学生が「JOBRASS」や「Offer Box」を活用しており、学生数の増加が顕著になっている。
企業側の意識も変わってきており、逆求人型の就職ナビを利用する大手企業は増えている。採用母集団の数を追い求め、そこからふるいをかけていく従来型の採用は、これからも継続するだろう。が、多くの学生から選抜しても、優秀な学生を採用できるわけではない。採用母集団に自社が求めるタイプの学生がいなければ意味はない。
仮に求めるタイプの学生が含まれていたとしても、大量の学生をさばく採用活動では、画一的で浅薄なコミュニケーションしかとれず、優秀な学生を見落としてしまうかもしれない。また、見つけ出したとしても学生への十分な動機づけもできないまま、内定を出すことにもなりかねない。
従来型の就職ナビではプレエントリーして来ない、自社の求めるタイプの学生を集中して囲い込み、密度の濃いコミュニケーションをとりながら展開する採用スタイルは、確実に広がりつつある。
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