「僕もう営業辞めたい」禅僧からの2つの答え

営業マンの悩みを、直哉さんに相談してみた

しかし、もしトップセールスになって周囲から高く評価されたとしたら、異動したいなどと思わなくなるでしょう。人間の最大の欲望は、「人から認められること」です。営業で評価されたら広報も企画もどうでもよくなってしまうはず。今、あなたは「認められる」という欲望が満たされていないから、自分にはもっと見合った仕事があるのではないかと悩んでしまうのでしょう。

南 直哉(みなみ じきさい)/1958年、長野県生まれ。禅僧。青森県恐山菩提寺院代(住職代理)、福井県霊泉寺住職。早稲田大学第一文学部卒業後、大手百貨店勤務を経て、1984年に曹洞宗で出家得度。同年から曹洞宗・永平寺で約20年の修行生活を送る。『禅僧が教える心がラクになる生き方』(アスコム)など、著書多数。

そういう方は、自分の「人生のテーマ」を決めてみるといいでしょう。テーマとは、ただ自分がやりたいことではなく、自分自身が「やるべき」と確信できることです。自分がやるべきことに向かっていくこと、それが人生なのだとお伝えしたいと思います。あなたの「今が嫌だから」という逃げの理由では、転職にしても、異動にしても、うまくいくはずがありません。

一方で、「今のままでは、どの道を選んでもきっと後悔する」、それでもいいと考えることもできます。あなたにぜひ覚えておいてほしいのは、性急に結論を出す必要はないということ。若いうちは、考え方のレンジが小さく、スパンも短いので、多くの大事な条件を見落としてしまいがちです。それならば、とりあえず結論を保留して流れに乗り、現状をきちんと見極めてから判断する方がよいでしょう。もっともっと悩んでたくさん後悔すればいい。その中から学べることもあるはずです。

「やるべき」ことができれば、自分の力が発揮できる

【お悩み2】業界3番手の商品を扱っている営業職です。正直、最大手の商品が一番良いと思っていますが、仕事なので何とかお客さまを説得して、買ってもらっています。何だかお客さまを騙しているようで心苦しいです(25歳/メーカー)

これは、なかなか深刻な悩みだと思います。2つ、ある事例をお話ししましょう。

知り合いから聞いた話ですが、あるフリーランスの営業マンがいました。極めて高い営業スキルを持ち、どんな商材でも売りさばいてしまうのです。その結果、一財産作って仕事は辞めてしまいました。

そこでどうしたかというと、彼はアタッシェケースに営業で稼いだ金を詰め込んでギャンブルに行き始めたのです。別にギャンブルが好きなわけではなく、「今日は30万円稼ぐぞ」と目標を決め、目標達成したらその日の賭けは直ちに止めてしまいます。十分な元手はあるし、ギャンブラーのようにのめり込まないので、必ず勝てる賭け方ができるのだそうです。でも正直言って、これでは何が楽しいのか分かりませんよね。知り合いいわく、彼自身も特別幸せそうにはみえなかった、そうです。

結局彼は、仕事とギャンブルで十分過ぎるほどの金を儲けて、それはそれで結構でしょう。しかし、テクニックを駆使して金を儲けるだけでは、最終的な自分の生き方を納得できなかったのかもしれません。つまり、生きる「誇り」は持てなかったのでしょう。

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