さらに、洋子さんはこう続ける。
「あとは、電車で40~50分かけて月1回いらっしゃるお客様や、出張時に必ず立ち寄ってくれるお客様もいるかしら。家庭的な雰囲気と、楽しく歌を唄える居心地の良さを、みんな一様に評価してくれているわ」
開店当初から通い続けているという、常連の男性客にも話を聞いた。
「立石が懐かしくて、ふらっと立ち寄ったのがきっかけ。江東六区のスナックはいろいろと通ったけど、この店は特にママの人柄がいい。いつ来ても、誰が来ても、依怙贔屓(えこひいき)なく楽しめる。こんなに居心地のいい店はほかにないよ」
お客さんが次々と歌っていく
一方、歌を楽しむ男性客は、「酒を飲まなくても、みんなと一緒に歌っていると心が元気になるし、笑顔になるよね」と話しながら、趣味で作っている巾着袋を皆にふるまっている。
また、「これが本当のスタンドマイク!」、テーブルにマイクを立てて唄うおちゃめな男性は、「僕は55歳だけど、常連さんの中では若いほう。もっと若い人にも来てもらって、一緒に楽しくお店を盛り上げたいね」と言う。
この日が特別なのか、それとも、この店がそうさせるのか。お客さんは次々とマイクを握って、お気に入りの一曲を歌っている。顔見知りが多いからか、誰かが歌い終わると、みなが一斉に拍手をする。常連客の男性の1人は、「ここはお客さんがみんな優しい。こんな店はなかなかない」と満足気に話す。カラオケが終わると必ず採点が出るが、驚くほど90点以上が連発する。レベル高い……。
店内には「本日のラッキーナンバーは6」と書かれた貼り紙があった。カラオケの採点で下一桁にラッキーナンバーが出たら、お土産がもらえるそうだ。客が歌い出すと皆が手拍子をし、曲が終わると同時にかたずを飲んで採点結果を待つ。そして点数表示とともに一喜一憂する。
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