Tカードが「おいしい牡蠣」を生み出す仕掛け 「40億件の購買データ」が漁業の活性化に貢献
こうしてできあがった商品が、「カレーとガーリック味の大きなカキフライ」「パセリとチーズ味の大きなカキフライ」(各10個入り1480円)と、「カキとバジルのオイル漬け」(約140グラム1280円)。
カキフライの特徴は、衣を薄くしたり、牡蠣に火を入れず冷凍したことなど。食材の味が最大限に引き出され、揚げたときに生牡蠣を食べているかのような食感が得られるという。オイル漬けは、サッと火を通した牡蠣をオリーブオイルに漬け、大きめにカットした。そのままバゲットなどに載せればおつまみになるし、サラダやパスタなどにあえてもよい。工夫次第でさまざまな料理に使えそうだ。いずれも大ぶりの春牡蠣を使用しているほか、日常的に食卓で牡蠣が味わえるよう工夫されているところがポイント。牡蠣を“イベント”的でなく、ふだんから味わってほしいという開発者の願いが込められている。
「魚介好きが作った、牡蠣好きのための牡蠣加工食品」
瀧田氏からのおすすめコメントは、「とびきりの魚介好きが作った、牡蠣好きのための牡蠣加工食品」。だからといって、通好みの味になっているわけではないという。なかでもカレーとガーリック味のカキフライは子どもの味覚にも合うほか、牡蠣が苦手な人でも食べられる味に仕上がった。
「インフルエンサーを対象とした商品発表イベントでは、生産者や地域に向き合いながら食を考えていこうという取り組みで注目されている、森枝幹シェフを招きました。商品を、バゲットにフォアグラテリーヌを塗って、オイル漬けを載せるなど、商品を購入した人にもっと楽しんでもえるレシピを紹介しました。カキフライにビターの生チョコをそえたり、いろいろなアレンジで楽しんでいただければと思っています」(瀧田氏)
プロジェクトを通しては、今回の3商品を含め13のレシピが開発された。12月半ばまでに今回の商品の初期ロット全6000個を販売したうえで、次のレシピの商品化を実現したいという。そのほか、流通面の問題で商品化に結び付かなかったレシピも、フィッシャーマン・ジャパンの直営店「宮城漁師酒場 魚谷屋」(東京・中野区)でメニューに載せてもらったり、Yahoo!JAPAN上でレシピを提供するなど、余すところなく活用する予定だ。
「販路によって販売状況はまったく異なるのですが、カキフライはいいペースで売れています。究極のプロダクトアウトということで、こだわりを詰め込んだこの商品が世の中にどんなインパクトを与えることができるか、まずは反応を見たいと思っています。最終的には、生産者オリエンテッドの食材の価値をそのまま持った商品が社会に認められて、購入され、その土地に足を運ぶ人が増え地域の魅力発見につながる、そういう仕組みづくりの一助にTカードが貢献できればいいなと思っています」(瀧田氏)
生産者と消費者をもっと結びつけようという意識は、外食産業のみならず社会全体で高まっている。今回は、マーケティングを担うTカードが架け橋となり、消費者の手で、生産者の思いを受け継ぐ、商品力を持った商品が生み出された。消費者自身が生産の現場に立ち会ったことの意義も大きい。こうした商品誕生にまつわる“物語”がブランド価値となり、消費者へのアピール力を高めていくことがまずは必要だ。そのために、今回のプロジェクトの第2弾、第3弾をたゆまず継続させていくことが重要だろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら