「iDeCo」「NISA」「積立NISA」、選ぶならどれ? 「投資初心者」がひそかに悩む大問題

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なお、すでに利用可能なiDeCo(個人型確定拠出年金)や、来年導入されるつみたてNISA(積立型の少額投資非課税制度)のような税制優遇のある口座で運用する場合、「毎月、いくら」という調子でゆっくり株式を買うわけなので、いつ始めてもいい。

はたして現在の株価が高いのか・安いのかは、正直なところわからないし、以前よりもわかりにくくなった。わかりにくくなった理由は、比較の対象になるべき長期金利(10年国債の流通利回り)が、日銀の政策によって人為的にゼロパーセント付近に固定されているからだ。

このイールド・カーブ・コントロールは、銀行の融資の利ザヤ縮小を通じて信用拡大を阻害する副作用があり、政策としての善しあしが微妙なのだが、物価上昇率「2%」を達成するまではもろもろの金融緩和策を後退できないだろうから、「長期金利ほぼゼロ」はしばらく続くだろう。

「長期金利はゼロ」を前提にしていいのなら、益利回りが約6%あり(日本経済新聞の予想ベース)、名目GDP成長率が2%近くありそうな状況なので、2万2000円台の日経平均は、まだ「割安」といえるくらいのものだ。ただし、自然な長期金利が名目GDP成長率くらいに形成されるなら、現在がほぼフェアバリューで、これから上は徐々に高いというくらいのレベル感だ。

税制優遇された制度をどう使い分けるか

ところで、個人が資産形成のための運用を行う場合、これを支援する税制上の優遇制度として、iDeCo、NISA、つみたて(積立)NISA、といった複数の制度がある。これらの長所短所と、使い分けについて、個人から質問を受けることも多い。簡単にまとめておこう。

まず、「課税される所得がある60歳未満の人」は、iDeCoを最大限に利用するところから始めるのがいい。掛け金が所得控除される税制上のメリットが圧倒的に大きい。企業型の確定拠出年金が導入されている会社にお勤めの方も同様なので、「所得のある人は確定拠出年金をできるだけ大きく使う」ことが第1の原則だ。

確定拠出年金は60歳まで資金を引き出せない点が不自由だが、たいていの人の場合、確定拠出年金で貯められるおカネは、老後に必要な貯蓄額を下回るので、これが制約だと感じるようではまずいというのが、優等生への回答だ。まだ運用できるおカネがあまりない若手社員などの場合、確定拠出年金を最大に使って、さらにつみたてNISAも使う、というような形が望ましい。

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